移住の理想と現実 ③
” 日本で、貿易関連企業に勤務した後、ヨーロッパ系の男性と結婚し、オーストラリアに夫婦で移住した女性は、次のように話している。
こっちに来て二年目に、オーストラリアの政府のヘルス・インシュアランス・コミッションの募集がありました。
運良く受かりまして、今でいう、メディケアですね。メディケアと、メディバンクがあって(中略)母国語でないから、やはり英語が一番苦労しましたね。
いっしょに仕事をしている人は英語を話せて当たり前っていうふうになっているのでそれが大変だったし。
毎日が英語のレッスンでした。仕事の中で親日派の方がいらっしゃって、その人たちに教えていただいて助かりました。”
これらのインタビュー・データは、一定の語学力を有している移住者でもオーストラリアの職場においては、第二言語として英語を使う以上、言語バリアを経験している点を示している。
滞在年月が経つにつれて、これらの言語バリアは克服されるものの、先に示したインタビュー・データは、移住者が経験する現実の一端を示していると言えよう。”(『日本社会を「逃れる」オーストラリアへのライフスタイル移住』p187)
英語力に関しては、ビザの取得要件で問われる事柄となる場合であったり、仕事に限らず生活シーンの様々な場面で求められ、試される能力であると思います。
英語が出来るほど移住へのハードルは下がるものと思いますが、その前にオーストラリアに渡る目的、実現したいことに焦点を合わせることで、随分と心理的負担は軽減されていくように考えます。