ロックバンドKISSの創設者で、個人でもロックスターの地位を築いている Gene Simmons:ジーン・シモンズが、
自身が展開してきたビジネスの内側について記した著書『ミー・インク』で
「ME」の部と、「YOU」の部があるうちの「ME」について読み終えたので、そこまでのまとめ。
前半の「ME」は、ジーン・シモンズの「私」の部分に焦点を当てた内容(後半の「YOU」は読者に宛てた成功論)。
ジーン・シモンズにとって本業と言える音楽(KISS)のセールス自体では、他のバンドで上を行くバンドが幾つか上げられると思いますが、
” 音楽ライセンスとグッズ販売のビジネスではKISSが圧倒的にナンバーワンだ。”(29%、百分率は電子書籍のページ数/以下同様)
との記載が本書にあり、ミュージック・ビジネスについて関心がない方でも、ブランディング等で参考になる部分は見出せるものと思います。
徹底して学び、働き、極めたロックスター
イスラエルで生を受け、幼少の頃にアメリカに移住して、誰しも成功を掴み取れる環境を提示している国への感謝が本の冒頭であり、
その恵まれた環境から
” 私はあらゆることを学びたいと願った。それ以降、私は学ぶのをやめたことはない。私は学び続けることを自分の義務にした。
週末に何時間も図書館にこもって手当たりしだいに何でも読んだ。・・中略・・
こういう体験を詳しく語るのは、自分を教育することが自分の義務だと分かってもらいたいからだ。
自分には能力がないなどと思ってはいけない。学び続けよ。そうすれば次第に能力が身につく。
何をするにせよ、生まれつき十分な能力を持っている人間などいない。すべての能力は努力と学習によって身につく。”(12%)
そして猛学習と、重労働で生活を支えてくれた母への親孝行の念から
” 14歳の時に私は成功しようと決心した。少なくとも母が二度と働かずにすむくらいカネを稼ぎたいと思った。”(13%)
この決心は8年でほぼ実現し、数年後には母が二度と働きに出ることはなくなったそうな。
そこには、
” 金銭的に成功する機会はいくらでも身の回りに転がっている。それらは足元に落ちていて、拾い上げればいいのだ。その成果もすぐに得られる。”( 14%)
” 大金持ちになるのも不可能ではないのだ。実際、それは多くの人が考えるよりもっと頻繁に起きている。” (33%)
というマインドセットや事実認識をもとに
” 私は音楽分野でキャリアを伸ばしたいと思った。だからロックバンドを作った。しかし音楽で成功できる保証はまったくない。
それどころか、統計学的にみたら成功の確率なんてびっくりするほど低いことを知っていた。
そこで私はバンドの練習をする傍ら、アルバイトを二つ掛け持ちした。
プエルトリコ機関ではディレクターのアシスタントとして働き、夕方からはフィフティーンス・ストリートのデリカテッセンのレジ係として働いた。
前にも言ったとおり、そこでは無料で食べ物にありつけるという特権があった。
KISSを始めた頃、私には貯金が2万3,000ドルあった。私は自分の好きな道に進みたいと思ったが、それだけにすべてを賭けるつもりはなかった。”(19%)
と、冷静に現実と向き合いながら
” ポップ・ミュージックの世界で音楽活動をしている連中のほとんどは、特別な資格なんて持っていない。
今やっている活動を学校で習ったことのある人間なんてのもほとんどいないだろう。
さらに、ほとんどの人が自分の活動を具体的にどうやって行っているかなんて説明できないだろう。ただ、がむしゃらにやっている。”(25%)
という雑念を排したハードワークで、夢を現実に近付けていったことが綴られています。
因みに、この夢は・・
” 1年半後、われわれはカリフォルニアのアナハイム・スタジアムで公演ができるまでに成功した。”(19%)
と初志貫徹ぶりに、思いを成就させるスピードも圧巻です。
ハードワークを支えた直感と柔軟な考え方
努力で築いた部分の他に、
” 何が受け、なにがうまくいきそうかということは誰かに聞かなくても本能的に嗅ぎ分けられた。
マーケットリサーチをするか、直感に頼るかだ。私はこの「直感」に恵まれていた。「直感」のおかげで成功し、金持ちになれた。”(22%)
と、天分によって成功が導かれた面も指摘されており、既述のマインドセットに加え
” 私は何百万回失敗しようと気にしない。私が成功し続けてこられたのは失敗を恐れなかったからだ。私はいきなり本番に飛び込む。
それをする資格があるかどうかも、外野の批判も一切気にしたことがない。自分自身を信じなくてはいけない。この心構えが重要なのだ。”(33%)
才能はありながらも、取り組んだことが上手くいくようになる考え方が土台にあってキャリアが成功していったことが、本の流れに沿ってよく分かります。
ロックスターが誘うビジネスの醍醐味
翻訳本にありがちな読みづらさはなく、読み進めていくうちにジーン・シモンズからのメッセージが積み重ねられるにつれ、
ロックスターと読者という、本来は厳然として存在するであろう垣根が取り去られていく感覚を抱き、
それまでジーン・シモンズを好きなミュージシャンといった捉え方はしていませんでしたが、
本書で一貫している前向きなメッセージから、本の半に差し掛かり、かなり親近感を覚えてきました ^^
後半の「YOU」は、それまでのジーン・シモンズ自身に軸足が置かれた構成から、読者に軸足が移るとのことで内容に興味津々。
読了次第、学びをシェアしたいと思います。