先週から読み進めていた橘玲さんの『言ってはいけない ー 残酷すぎる真実 ー 』を読了.-
「橘玲さんの本は、いつ以来かな?」と遡ってみれば、昨年8月以来と久方ぶり。
本書を手に取ったのは図書館で見掛け、ぱらぱらっとめくって開いたところに・・
” アメリカの心理学者マシュー・ハーテンステインは、卒業アルバム写真を何百枚も集めて笑顔の度合いを点数化し、後年の結婚生活を予測した研究で一躍有名になった。
ハーテンステインによれば、男女ともに卒業写真であまり笑っていなかったひとの離婚率は、満面の笑みの卒業生の5倍にのぼるのだ。
はたして、外見からひとの性格や未来を知ることができるのだろうか。”(47%、百分率は電子書籍のページ数、以下同様)
とあり、本書全体に対する関心が及んで購入に至る。
幸福になるようデザインされていない現実
本の冒頭「まえがき」で
” 最初に断っておくが、これは不愉快な本だ。だから、気分よく一日を終わりたいひとは読むのをやめたほうがいい。
だったらなぜこんな本を書いたのか。それは世の中に必要だから。
・・中略・・
世界は本来、残酷で理不尽なものだ。その理由を、いまではたった1行で説明できる。
ひとは幸福になるために生きているけれど、幸福になるようにデザインされているわけではない。”(1%)
という内容に始まり、様々な統計を用いて、大まかに下記の
I 努力は遺伝に勝てないのか
II あまりに残酷な「美貌格差」
III 子育てや教育は子どもの成長に関係ない
3編に分かれた内容で構成されているもの。
真実を瞬時にして嗅ぎ分ける直感
で、冒頭の私が興味を持った
” はたして、外見からひとの性格や未来を知ることができるのだろうか。”
に対する回答は、大学で行われた実験結果などを受けて・・
” 無表情な写真からも内面をある程度知ることができることだ。
被検者になにを手がかりにしたのかを訊くと、「健康的な外見」「こざっぱりした外見」とのこたえが返ってきた。髪型やファッションは性格を反映するのだ。
自然体の写真では推測の精度が上がると同時に、無表情の写真で判別できなかった性格も見分けられた。
「外向性」「親しみやすさ」「自尊心」などで手がかりになったのは、圧倒的に笑顔だ(それ以外ではリラックスした姿勢や活力など)。”(47%)
更には・・
” 知性は会話を聞かなくても、外見から推測できることがわかった。研究者は知性を表わす手がかりとして、視線と美しい顔立ちを挙げている。
話しているときに相手の目を見る人は、知的な印象を与えるばかりか、実際に知能が高い。”(48%)
” 直感のちからが大学教授の有能さを瞬時に見分けられるのなら、外見から攻撃性を推測するくらいはかんたんだ。
実際、ふたつの異なる容姿を一瞬(0.039秒)見ただけで、ひとはどちらが攻撃的な性格なのかを判別することがわかっている。”(49%)
といったエピソードから、顔立ちに関する掘り下げた記述が続いていきます。
何となく感じていた騒つく事事
上記で抜き出したところは「へぇー」といった感じで、雑学的な面白さから世間話にカジュアルに使えるトピックから
「まえがき」で警告された引用が難しい残酷な真実に至るまで、
紙の本で250ページに及ぶ分量に、各文に対する相応の理解力も求められ、結構な読み応えです。
オススメするタイプの本とは異なり、判断の基準は書店で立ち読みした感じに従って頂ければと思いますが・・
世の中でまことしやかに囁かれている事柄に、データによる裏付けが示され、一時に、よく聞かれた表現に準えると全編を通じて「不都合な真実」を実感することが出来ます。