プロ野球(NPB)、東京 ヤクルト スワローズで選手、監督の立場で活躍された古田敦也さんの
新刊『うまくいかないときの心理術』刊行記念講演会 に行ってきました。
当初、キャッチャーからピッチャーにかける言葉を題材にした出版の企画であったようですが、
100語とのオファーが15語あたりで止まってしまい、古田敦也さんがプロ野球に入ってくる選手たちを見てきた中で
上手くやっている人、力はあるのだけれど上手くいかない人の違いが分かるようになり、
そういった視点で本が仕上げられていったようです(まだ、未読のため詳細について把握していません)。
プロ入り後、早々に首位打者に輝いた背景に戦略あり
講演では、野村克也監督とのベンチ裏での葛藤や(現在の)東京ヤクルト スワローズに入団してきた外国人選手との交流秘話であったり、
先日2,000本安打を達成した広島東洋カープの新井貴浩選手の話題であったり、1時間近くの講演で話題は多岐に及びました。
印象的であったのは今回初めて口外したとのプロ入り2年目で打率.340の数字を残し、首位打者に輝いた秘話。なお、1年目の打率は.250。
当時の打順は8番であったそうですが、投手心理としては例えば2アウトの時は8番バッター(=古田敦也さん)を抑えれば、
次の回は、9番(打線の中で最も非力な投手であることが多い)から始まることになるので打ち取っておきたい。
方や捕手心理としては8番バッターに打たれてしまうと、ベンチに帰って叱責されるので、危ない橋は渡りたくない。
捕手はベンチの指示でないと敬遠は出来ないことから、投手の苦手なボールを要求し、四球になってもいいようなリードをするようになる。
古田敦也さんは、このバッテリー心理を読み、苦手なボール=コントロールが甘くなる傾向を利用して、安打を積み重ねていったとのこと。
こういったことは他言しないで、黙っていることもプロの世界で生き抜いて上で大事とのこと(これは本に出てこないはず)。
変わっていく勇気
また、プロで成績を残せない人は、それまでの前の段階(高校野球なり、大学野球など)成功体験にこだわってしまい、変わることを嫌う。
例えば、そういった選手はオフシーズンに(大学など)古巣に戻り、良い状態のフォームなどを確認しにいこうとするが
ポイントは自分が(バッターであれば)打てなかった理由を把握し、その改善に注力するということ。
かつての居心地の良い場所に戻って、ちやほやされたり、勇気づけられたりしても、良くなって戻ってきた試しはない。
古田敦也さんのお話ししで興味深かったのは「150キロの速球も朝から晩まで打ち続けていれば、誰でも打てるようになる」との指摘。
発言の前段に「プロ野球に入ってくる選手であれば」といった条件が付される感じでもなかったですが、考え方とともに努力によって後付けされる力も大きいようです。
既述の新井貴浩選手は好例で、ドラフト6位で入団してくる選手はコネの場合も多いようですが、そう見做されるほど打力以外のレベルはプロに程遠く、猛練習を重ね偉業達成と相成ったそうな。
変わることに関しては古田敦也さんご自身も、例えば社会人研修の時、トヨタ自動車で「イエスマンになってはいけない」と教育されるも、
プロ入り後の野村克也監督との関係では、状況に応じて最適な選択を行っていったとのこと。部分にこだって、全体に影響(ファーム行き、起用されないなど)されることがあっては不幸。
滲み出る気さくな人柄
ぶっちゃけ気味の講演で場内がしばし爆笑に包まれる中、余韻を引きづる感じでサイン会へ移行。
一人一人、丁寧に為書きしてくれるファンサービスぶりで必然、古田敦也さんの前にたたずむ時間が長くなることから、質問を発する参加者(ファン)も多く
私から・・
「楽天の監督が変わる場合など、古田さんの名前が出ること多いですが、あれはマスコミが勝手に書いているもんなんですか?」
と問えば、古田敦也さんから・・
「よく出てるよね。俺もヤフトピ(Yahoo!トピック)で見て電話かかってくるのかな?と思ってたら、次の日に決まってたりね。だいたいああいうのが出る時点で決まってるんだよ」
と気さくに回答いただき、直のやり取りが一番嬉しかったです。
阪神ファンとしては幾度となく煮え湯を飲まされ続けてきた(当時)古田敦也選手でしたが
次の現場復帰に当たっては、活躍を応援したくなりました。本の内容については、読了時に改めて紹介したいと思います。