政治分野をはじめ多数のノンフィクション作品を出版されている大下英治先生の『田中角栄の人生』と題された講演会に参加。
石原慎太郎元東京都知事の影響が大きいと思いますが、
このところ書店で「田中角栄本が多いなぁ」なんて思っていたら、大下英治先生のお言葉を拝借すると「田中角栄バブル」であると。
因みに大下英治先生は、今年(2016年)だけで実に6冊の田中角栄関連書籍を出版されるとのこと。
私の大下英治先生との出会いは、その昔『経世会竹下学校』を拝読して、主人公の竹下登元首相の人物像が、
読前読後で一変して覆されたという過去に、取材の緻密さに、書く力の凄まじさを実感し、
今回10余年の時を経て巡ってきた、初めてお目にかかれるという貴重な機会でした。
今、なお待望される田中角栄の実像とは
定刻となり、大下英治先生ご登壇後、講演は程なく始まり・・
吉田茂、岸信介といった首相経験者が、「もし、今、生きていたら」という「たられば」で語られることがないのに対して、
しばし「田中角栄が、もし、今、生きていたら・・」と引き合いに出されるのは、
日本の優秀な官僚を使える政治家が不在であるという、政治への不満が背景にあるとして、
講演は主に大下英治先生が多方面に綿密に取材された裏付けによる田中角栄さんの生前の実像が、約1時間に渡って語られました。
すべてを掌握するに至った人間味
ポイントとして抽出されたのは、「温もりと愛嬌」の二点に集約されていたものと思いますが、
とにかく印象に残ったのは、田中角栄さんの人心掌握術というのか、人情の機微に触れることの巧みさ。
それを物語るエピソードが次々と紹介され、尽きることがないという・・
また、場面描写に際しメモに目をやることもなく饒舌に、状況、人物名等を織り交ぜ、あたかも現場に居るかの如く、再現される大下英治先生の博識ぶりも驚嘆の次元で
「もっと聞きたぃぃぃ」の誘惑に駆られながらも、当初の予定は40分であったそうですが、
勢い良く延長となり、講演会に参加した当初の動機に十二分に満たして頂きました。
上記に記載した内容は講演の上辺に過ぎませんが、
四月に上梓されたばかりの大下英治先生の新刊『田中角栄の酒 「喜びの酒」「悲しみの酒」「怒りの酒」』👇 で、
講演に沿った内容に触れることが出来るものと思います。また、私も本書読了後に、内容を紹介するつもりです。
大下英治先生のお人柄に触れる交流の一時
講演後は、サイン会へ。当初は、対象書籍を入手していませんでしたが、講演内容にインスパイアされるところ大きく、レジへ一目散。
大下英治先生を目前にした状況では、名刺交換に、質疑応答に、閉演後に近くで開催されるお誕生日会にお声掛け頂くなど、
思いもよらぬ過分な展開に、田中角栄元首相と同様に、大下英治先生のお人柄そのものに魅了された講演会で
会場に来る前とイベント後とで、随分と元氣の度合いを高めて頂いたように実感しています。
小沢一郎代議士に関する本も9冊上梓されているとのお話しで、今回、合流が叶わなかったお酒の席で、いろいろ直にお話しをうかがえる機会を楽しみにしたいと思います。