ノンフィクション作家 大下英治先生の『決定版・田中角栄論』を受講。
3回シリーズの初回で、大下英治先生の講演は2ヶ月振り。
その時は、田中角栄元首相に関する新刊(『田中角栄の酒』)の刊行記念ということでしたが、
今回は新潮講座のプログラムの一つとして開催されるもので、運営側のご担当者の方が、大下英治先生が三越の舞台裏を明かした作品(『十三人のユダー三越・男たちの野望と崩壊』と思われます)以来の長いお付合いといった経緯もあって実現した模様。
今、なお日本人の心に生きる田中角栄(元首相)の正体
初回ということで、6月の講演(上掲のリンクを参照)の復習といった意味合いも私個人で持てましたが、
昭和が既に歴史となった今、田中角栄元首相の人間性に触れた人たちが、
「人間臭い」「なかなかだなぁ」「こういう人にものを頼んだらいいだろうなぁ」といった事を感じ、
今日、書店をはじめ各所で「田中角栄」の固有名詞を見かけるようになったブームの源泉があると、大下英治先生は分析。
今の政治家は野党でも学歴が格段に高くなっており、悪いこともしないが、良いこともしない。
温もり、匂いといったものを感じることが出来る人は殆どいない状況で、田中角栄元首相が肝に銘じているとされた
「人間は皆、失敗する欠陥品だ。」そこを愛せるかといったところで、心が通っている様子が伝わってこない。
そこに、お金がなかったことから学歴は残せなかったものの、大下英治先生曰く「眠っていても東京大学に入れるほどの頭の良さはあった」というほどの知性の持ち主でありながら、
温もり、人間臭さといった面を持ち合わせていた田中角栄元首相が時代を超えて、なお日本人の間で惜しまれているのだと。
人間はマイナスがあるほどいいの人生哲学
約90分の講座で印象的であったのは、上述の内容と重なりますが、大下英治先生も作家志望の集まりに呼ばれ、
「マイナスサラブレット」というお話しをされるそうで、内容は「人間はマイナスがあるほど、いいよ」というもの。
大下英治先生の著作を通じての取材経験や何よりご自身の人生経験が反映されてのお言葉と思いますが、
田中角栄を軸とした人間臭さに溢れる、今回のシリーズ講座。
これからも様々な人間ドラマに耳を傾けることが出来るのを楽しみたいと思います。