KADOKAWA・DWANGO代表取締役会長 川上量生さんの『コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと』を読了.-
先日参加した 川上量生さん x 南場智子さん特別対談
実現のきっかけとなった一冊で、その際、南場智子さんが本書を絶賛されており、
リップサービスも含まれているものと思い、特に関心を抱いてませんでしたが、
後日、八重洲ブックセンターを訪れた際、サイン本を発見し、急に興味が湧き上がったという(笑)
読んでみて実際、南場智子さんが絶賛されている理由がよく分かる気がしましたが、
それは普段、何となく我々が使っているであろうコンテンツということに対して、
スタジオジブリの方々をはじめ専門家の見解を交え、多面的に、分かりやすく論文形式で説明されていること。
コンテンツの正体
幾つか印象的であった箇所を抜粋すると、
” 人間が成長していく過程で、現実社会を学ぶための教材がコンテンツである “(p40)
” 人間は現実世界のイメージを脳のなかに持っています。それは現実世界の情報をそのままコピーしているのではなく、特徴だけを抽出して組み合わせてイメージをつくっているのです。
コンテンツのクリエイターとは、脳のなかにある「世界の特徴」を見つけ出して再現する人なのです。”(p90)
” ぼくたちはよく物事の本質とはなにかと問いますが、物事を記号化して少ない情報量で表現したものがその正体でしょう。
なぜ本質が必要かというと、脳は単純な情報しか扱えないからだと思います。それが本質の「本質」ではないでしょうか。”(p95)
などなど。
誰もがコンテンツを扱える時代になって、分かっておくべきこと
本書が上梓される経緯となったのは、川上量生さんがスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーに弟子入りした経験から
宮崎駿さん、高畑勲さんといったビッグネームに、クリエイターが集う現場などから得られた声をもとに
弟子入り生活の中で、毎日考えるようになったテーマ
” クリエイターとはなにをやっている人たちなのか。いわゆる天才クリエイターとふつうのクリエイターの差とはいったいなんだろうか。”(p9)
について掘り下げられ、本を読み進めていくうちに解に導かれていくというプロセス。
SNS(Facebook、Twitter etc)に、ブログに、動画など、簡易に自分メディアが持てることになった時代、
それらを扱う上で向き合うことになるコンテンツの本質を自分なりに把握しておくに、いろいろ考えさせられ、答えを導いてくれる興味深い一冊でありました。