衆議院議員の国政報告会で、元外務省主任分析官の佐藤優先生の講演会が開催されることを知り、参加。
先週↓ に続いての佐藤優先生となりましたが、
今回は「世界情勢と日本外交の課題」と題され、日露関係をはじめアメリカ大統領選挙の影響に関する話題も長めに取り上げられ、
興味深く繰り出されるお話しの数々を聴講することが出来ました。
ドナルド・トランプ大統領就任後の日米関係
まず、大方の予想を覆す形でDonald J. Trump:ドナルド・トランプ候補が当選したことに驚いたのは外務省も同様で、
先の訪米時、Hillary Clinton:ヒラリー・クリントン候補としか会談していなかった安倍晋三首相が
ペルーで開催されるAPEC首脳会議に参加する道中、アメリカにに立ち寄った際、急遽といった感で実現した両者の会談も、混乱ぶりを露呈したものであったと分析。
会見後、安倍首相の表情が引きつっていた事実を指摘され、この時期の開催に疑義(後への影響)を示されていました。
佐藤優先生はジャーナリストの池上彰さんとともに、直前までヒラリー・クリントン候補と何れが勝てるか結論を出せず、
推移を見守っておられたそうながら、1年前から副島隆彦さんがドナルド・トランプの当選を予言していたことは
リーマンショックが起こることを半年前から予測していた事実と合わせ、そのロジックが整然としている点を評価されていました。
ドナルド・トランプ候補が大統領職を引き継ぐことについては、
世界各国のエゴイズムが強くなっていくこと、格差が拡大していくであろうとの見通しに、
日米関係も無理難題を吹っかけられてくることは明瞭であり、(日米関係の)迷走するとともに、何が起きるか分からない波乱含みの状況を予測。
日露関係のこれまでとこれからと
また、日露関係に対してはプーチン大統領の権力基盤が揺らいでいる状況から、
12月15、16日の会談で(日本国民の期待に沿うような)成果を出すことは困難であるとして
これまでの両国の思惑が噛み合わなかった交渉の履歴、現実的な落とし所などが示され、
先週の勉強会の時と同じく「自分自身でしっかり歴史観を持っておかないとなー」と、
佐藤優先生の国会議事録の引用をはじめ様々な史実から導かれたお話しの一つ一つに説得力が伴っており、圧巻の講演会でした。
専門性を支えるリベラル・アーツ
50分程度の講演の後、参加者2名から質問を受け付け、だいたい1時間弱。
現状、置かれている状況の紐解きをラインホルト・ニーバー『光の子と闇の子』、
ニクラス・トールマン『信頼』、
といった古典的名著から指摘した組み立ては、存分に知の巨人ぶりを知らしめられ、
リベラル・アーツ(一般教養)の重要性を今一度、学ばされる機会でもありました〜