東京海洋大学准教授 青山千春博士の『科学者の話ってなんて面白いんだろう メタンハイドレートの対論会場へようこそ』を読了。
中間記で取り上げた「第一章 日本は変わり始めている」から
「第二章 科学者の挑戦、生みの苦しみ」「第三章 いよいよ使える自前資源の生産に向けて」は各論的な話しとなり、用語も専門的となり、読解に難度が上がる印象もあります。
そんなところで消化出来ていないところも多いですが、大づかみでメタンハイドレート(MH)に関して感じたところを以下に。
メタンハイドレートが秘める可能性
” 表層型MHはきちんと調査しようとしたら三年では足りません。とはいえ、あまりお金(国家予算)をかけ過ぎても問題なので、集中してやるには現状がいい案配なのではと思います。
もちろん、わたしたち研究者の「もっと知りたい」「もっと調べたい」という好奇心を満たすには、とても時間が足りませんが。”(p157)
という産業技術総合研究所(産能研)の地質調査総合センターで研究グループ長を務める森田澄人博士のお話しから読み取れるMHの可能性(未知の部分)であったり、
” 「青山千春博士が長い時間をかけて対論してきた研究者のなかで「表層型MHは地産地消のエネルギーにしかならないから・・・」と否定的に述べている方もいらっしゃいますが、これはやや旧来の発想ですね。
燃料電池や一軒の民家の屋根の太陽光パネルでみるように、いわば究極の地産地消のエネルギーと、原発のように大規模施設で発電して、それを大規模な送配電網で配る旧来の方式とベストミックスさせるのが、いまです。
表層型MHは、再生可能エネルギーと旧来型エネルギーの中間に位置するものです。エネルギーの日本の考え方を根本的に変える必要があります。”(p361)
と、専門家の間でも見方が分かれる中での青山繁晴さん(参議院議員)の提言であったり、
国のエネルギー政策の在り方からパイプラインの整備などに至るまで、さまざま課題がある中、
青山千春博士が定義する、
” 日本人が建国以来初めて見つけた、海に抱擁している本格的な自前資源です。”(p1)
というメタンハイドレートについて、登場する様々な専門家の知見を対談形式を通じて学べる一冊です。