複雑ネットワークを専門とする増田直紀さんに学ぶ、人生を豊かにするネットワークの築き方:『私たちはどうつながっているのか』読了

書店で「次、何読もうかなぁ・・」と、手持ちの読み本がなくなり物色していた際に気になり→手に取り→購入に至っていた

『私たちはどうつながっているのか』を読了。

ディスプレーされていたので、てっきり新刊と思いきや出版は2007年4月。

著者の増田直紀さんは「東京大学大学院情報理工学系研究科数理情報学専攻講師、複雑ネットワークと脳の理論を研究」と本書で紹介。*本書上梓時点の情報と考えられます

まず「はじめに」で

” あなたは、自分のネットワークに満足しているだろうか。仮にいじめやひきこもりに悩んでいないにしても、人間関係の質や量について無頓着ではないだろうか。

知らず知らずのうちに、人のネットワークの中で損をしていないだろうか。適切なネットワークを構築して、己の充実に結びつけられないだろうか。

新しい友人づくり、運命的な出会いによる結婚、周りの人に受容してもらうこと、有名になってお金を稼ぐこと。

人のネットワークがうまくいくと到達できそうなことは、たくさんある。

ネットワークでうまくいくにはどうしたらよいだろうか。この問いについて、本書で順を追って考えていく。”(iii – iv)

という読者への投げかけに始まり、

230ページに及んで(上記投げかけに対する)解が導かれていくという構成。

ネットワークを味方につける生き方

最初、翻訳本かと思う文体に、全体の骨格を理解するのに頭に叩き込んでおくべき専門用語もふんだんに用いられており、

アカデミックな印象を持ち、このあたりで得手不得手に分かれそうですが、

” 家族と、友だちと、好きな人と、仕事で信頼のおける人と、つながっている。

あるコミュニティの中の人間関係が心地よくて何となく安心するとき、コミュニティ内に仲の良い人がいて、それがコミュニティに属し続ける動機になっていることが多かろう。

あなたは唯一の存在であり、世界人類の成すネットワークの中でも唯一の位置を占めている。この事実をまず尊重してみよう。

次に、自分のネットワークの生活の満足とは何か、を定めよう。

満足には、情報をいち早くキャッチできること、いろいろな人に出会うこと、仲間に囲まれて暮らすこと、目立つこと、有名人のおこぼれを要領よく頂戴すること、など無数の基準がある。

上昇志向の人と安らぎ志向の人では、目指すネットワークはまったく異なる。特に、効率と安心は相反する。

1人24時間の壁は誰も破ることができないので、私たちは取捨選択を迫られている。

ただ、効率か安心のどちらかを捨て去らなければならない、というほど現実は厳しくない。ある程度の努力と工夫でもって、両方を中庸に維持できる。

自分の周囲のネットワークは、行動によって変えられる。ネットワーク上の自分の位置確認、位置を換えることの影響などは、本書の中で説明してきた。

ネットワークの進むままに任せずに、ネットワークという資本を自分の味方に引き入れよう。”(p227-228)

という結論部に至るまで、普段、誰しもが何となく否応なく属しているネットワーク(人々とのつながり)に関して

論理だって考えてみたい方に、さまざまヒントを得られる一冊と思います。

 


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