川井隆史さんが教えてくれる使える外資系エリートの仕事術:『外資系エリートが実践する「すぐ成長する」仕事術』読了

『外資系エリートが実践する「すぐ成長する」仕事術』を読了。とあるご縁から巡り会った1冊。

著者の川井隆史さんはアーサー・アンダーセン(現あずさ監査法人)、日本コカ・コーラ、GE(ジェネラル・エレクトリック)という名立たる外資系で、財務、経営企画関連のディレクターとしてキャリアを築かれた後に独立。

本では、主として外資系で培われた仕事術について紹介。

新卒時は、国民金融公庫に入社されたもののロバート・B・ライシュの『ザ・ワーク・オブ・ネーションズ』を読まれ・・

” 問題発見、解決能力のある知識労働者のみがホワイトカラーとして存在し、残りは対人サービス労働者とルーティーン生産労働者のみである。ここでは、以前の中間層であった普通のサラリーマンという層は消滅している。” (prologue)

との著者(ロバート・B・ライシュ)の予言に危機感を抱き、「すぐに成長したい」との思いから一念発起して1年間の勉強生活を経て、公認会計士の資格を取得し、上記の外資系でキャリアを積む経歴に至った。

外資系で出来る人が実践しているシンプルだけど大切な3点

ご経歴の中で実績を残せたのは、「シンプルだけど大切な仕事についての心構え」を持っていたからだとして、それが下記の3点。

1. すぐに動け

2. 期限は死んでも守れ

3. 言われたことだけやるな

(prologue)

これらは、外資系企業の「できる人」に共通するものであったそうで、日本人が苦手とする順番に並べられたもの。

外資系企業では短期間で社員の優劣を判断するため、この3点が判断基準となり、これが身に付いている人の成長は早く、自然と上司に目をかけられるようになる。

優秀であるためには、努力し続けなければならない

また、この3点に加えて、「優秀であろうとする誇り」も大切で、くり返しアーサー・アンダーセン時代に役員から言われた言葉に

” 世界一のの会計事務所に入社した君たちは優秀なのだ。人より優れていて当たり前であり、それを維持し高めるためにも、つねに努力しなければならない ” (prologue)

特に留意しなければならないのは、「つねに努力しなければならない」の部分。つまり、優秀であり続けるためには、自分で自分にプレッシャーをかけないと生き残れない世界。

その過酷さについては、本の中で度々エピソードとして紹介されていますが、自分が一番印象に残った事例は下記。

” アーサー・アンダーセンは新卒を多く採用する会社だった。しかし、新卒だからゆっくり育てるということはない。2週間程度の研修が終われば徹底的にプロフェッショナルとして扱う。

アーサー・アンダーセンでは顧客に対する監査やコンサルティングを「アサインメント」と呼んだ。アサインメントに入る時点で、過去の資料はすべて読み込んであり、専門用語も理解できていて当たり前だと考えられている。

たとえあなたが就職や転職して初めて顧客のところに行く、つまり人生最初のアサインメントであっても、顧客の前ではまるで「僕はすべて理解しています、あなたがたのすべてを知っています」という顔をしなくてはならない。

私(著者)は、それを甘く見ていた。入社して初めての案件は外資系銀行会計監査案件だった。先輩に「読んでおけよ」と渡されたのは前年の資料と、監査マニュアル。

あまりに分厚くすべて英語で、まさか全ページ読む必要はないだろうと思い、きちんと読み込まなかったのだ。

そして仕事が始まると、耳を疑った。日本語で話しているのにもかかわらず、特有の専門用語が多くて内容がまったくわからないのだ。(中略)

まごまごしていると、上司やお客様にはあきらめた顔をされた。上司にはけちょんけちょんに叱られ、「もう帰っていい」と言われた。” (P24-25)

と、1年で国内最難関資格の公認会計士試験に合格してしまう力量の持ち主ながら、生半可な心掛けでは生き残れない熾烈さが感じられる事例の紹介が本の冒頭にあり、

読み物としての面白さはあるものの、我が身を重ね身を引き締められる部分も感じさせられます。

Tightrope

成長できる人の資質

方や著者が事例から学ばれ、外資系企業の中で頭角を現していく術も生々しく複数綴られています。

印象に残ったところでは・・

1. ” すぐに成長する人は、何か大きなミスを犯したり、トラブルに巻き込まれたとき、「悩むより考える」タイプの人が多い。” (P39)

2. ” 仕事を始めるときには最初にボトルネックを把握しろ : ボトルネックとは、仕事の進行の妨げとなるもののことだ。事前にボトルネックになるものは把握し、しかるべき手を打っておくのが、すぐ成長する人には欠かせない姿勢である。(中略)

仕事自体はがんばっているのに何だかうまくいかない「残念な人」は、このボトルネックの把握ができていないことが多い。さる仕事やプロジェクトを担当するさい、何がボトルネックになるのか事前によく考えてみてほしい。” (P56)

3. ” あなたは、自分が日々使うお金を「投資」「コスト」「ロス」に分けて考えているだろうか。

「投資」はお金を使った影響がその時点で終わらないもの(中略)

「コスト」は、その場でしか効果が得られないもの(中略)

「ロス」は、お金や時間を費やしたのに、その場でも効果がないものを言う。” (P158)

等の共通した傾向にみられる指摘。

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在り様が正しければ、結果はついてくる

その他、様々、外資系に限らず、会社の中で結果を出すための心構え、スキルについて著者の経験に基づいた紹介がなされていますが

読まれた人それぞれにとって、目に留る記述が異なってくると思い、そこに成長のヒントが隠されているものと思います。

必ずしも本を読んで実践して即結果に反映されてくるものではないですが、

” あなたも、それがどんなことであれ、目の前にある仕事をきっちりまじめにやることは必ず将来プラスになるはずである。” (P168)

” 自分(著者)の例で恐縮だが、アーサー・アンダーセンに入社してから約10年で年収は約4倍になった。きちんとキャリアを積めば倍々ゲームなのである。何より本当にやりたい仕事ができるようになるのだ。

どうか心からの「やりたい」を積み重ねて、理想のキャリアを築いてほしい。” (P172)

と正しい心掛け、取り組みによって、得られる結果、評価が違ってくるとの著者からのメッセージもあり、特に組織の中で結果を求められている方々にとっては、ブレイクスルーのきっかけを掴める一冊となるかもしれません。


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