ボクシングで日本人初の世界ミドル級王者を戴冠した竹原慎二さんの著書『見落とされた癌』を読了。
購入時、本の分厚さ(p269)に一瞬尻込みして、数日かかる見込みで読み始めたものの・・
タイトルから推察される通り、(闘病記といった性格から)その内容の重たさに打ちのめされがちとなり、それならば逆に一気に読み切ってしまおうと二日で読破。
伝わらず、初動が遅れてしまった命の危機
頻尿が気になり出し、懇意にしている医師への診断を再三仰いだものの大事ではないとの回答により、
安心していたものの、一向に体調が快方に向かうことはなく、異変を解き明かすべく、
セカンドオピニオン、サードオピニオン、転院といったプロセスを経る中で、蝕まれたいた病床が次第に明らかに、、。
今回の経験が出版にまで至った背景には、闘病中、本やインターネット等で癌患者の闘病記に竹原慎二さんが励まされ、勇気づけられたことに対する返礼の意味合いもあったと思いますが
『見落とされた癌』とのタイトルが示す通り、
” 僕のような被害者が二度と出ないように願って “(p185)
それは、
” 自分の癌がわかってからしばらくは、「今まで自分の何がいけなかったんだろう」ということばかり考えた。
もっと良い医者に早く出会い、早期発見できていたら・・・。
自分でもっとよく調べるべきだった。早く見切りをつけて、別の病院に行っておけば良かった。自分の身体を大事にすれば良かった。
暴飲暴食していた。タバコを吸っていた時期もある。なんでもすぐ薬を飲んでいた。毎晩酒も飲んでいた。
一体、何に気を付けていたら、癌にならずに済んだのだろうか・・・。
頭の中はそんな堂々巡りを繰り返し、「あのときこうしていたら・・・ああしていれば・・・」と「たられば」ばかり考えては、凹み後悔した。
悩んだりあがいたりして行き着いた先は、過去をどんなに悔やんだりしたところでどうにも変えられないが、
それでもその反省を未来に活かせるならば、後悔することにも意味があるのではないか、ということ。”(p222-223)
本では更に一文はつづきますが、焦点を今回の闘病経験に合わせて他の箇所から引用すると・・
” 僕は自分の経験から、一人の医者に言われたことを鵜呑みにするのではなく、今の自分に残された選択肢をきちんと調べ、自分なりの意思や意見をしっかり持ち、最終判断は自らが下すべきだと思う。”(p106)
この部分に、竹原慎二さんが本書を通じて最も伝えたかったメッセージが込められているように感じています。
繰り返されてはいけない過ちと健康であるために
読了して感じたことは、日ごろ自分が享受出来ている「健康である」ということが如何に尊いことであるかということ。
「失って分かる健康のありがたみ」とは時折耳にする物言いですが、竹原慎二さんのような一般人よりも頑強な身体の持ち主でも
一旦、病魔に襲われてしまうと、膨大な体力(労力)に金銭に周囲の献身的なサポートに、何より本人に強靭な精神力が求められることが、一冊の読書を通じてよく実感出来ました。
本書で興味深いのは竹原慎二さんの視点で記された闘病記のほか、各章(竹原慎二さんの振り返る)を受ける形で「妻の視点」も取り上げられており、
また、予防の観点から食生活、睡眠など健康を維持するために竹原慎二さんが学ばれたことにもページが割かれており、(竹原慎二さんが)陥った過ちを回避する提言の他にも、健康に関してもさまざま学べる一冊です。