田原総一朗さんの『起業のリアル』を読み始め、半分あたりのところまで。
ポスト・ホリエモンの起業家に共通する点とは?
ジャーナリスト田原総一朗さんと若手起業家の対談集。登場する起業家は田原さんが定義する「ポスト・ホリエモン」と称する堀江貴文さんの後の世代で
” おとなたちを挑発するような荒々しさはない。乱暴な言葉遣いはしないし、物腰もやわらかだ。
また堀江の時代の起業家は、いきなり自分で会社をつくってベンチャービジネスをやった。一方、ポスト・ホリエモン世代は、まず企業に就職する。
その会社で一生を終えようと考えているわけではない。サラリーマンをしているあいだにビジネスのノウハウや生きるための知恵を身につけ、そのうえで独立して事業を起こす。じつに堅実だ。” (1%/百分率は紙の本でいうところのページ数に相当/以下同様)
と分析。また
” ROE(株主資本利益率)よりソーシャルインパクトを重視していることも、ポスト・ホリエモン世代の特徴だ。彼らは自分が儲けることより、新しい事業で社会を変えることに喜びを見出しているという。” (1%)
近年の起業家の傾向が異なってきている点を指摘。本の前半に登場する起業家は
LINE 森川社長 // スタートトゥデイ 前澤社長 // チームラボ代表 猪子代表 // ユーグレナ 出雲社長 // フローレンス 駒崎代表 // マザーハウス 山口社長 // e-エデュケーション 税所代表 // ライフネット 岩瀬社長
以下、個人で刺さりのあった箇所から引用すると・・
「とにかくシンプルに、ユーザーが求めるものをつくり続けるだけ」by LINE 森川亮社長
LINE は、主としてスマートフォンでスタンプ等を使いコミュニケーションを取るものとして爆発的に人気を博しているアプリ。
” 商品開発には二つの方向があります。一つはグーグルさんのように、人が欲しがるのかわからないけど、エンジニアがおもしろがってつくったものをとにかく世に出して、その中で当たったものをビジネス化していくやり方。
もう一つはアップルさんのように、人が求めるものを突き詰めて考えて、一個に絞り出すやり方です。” (4%)
LINE創業の背景・・
” 水のようなサービスをつくりたかったのです。水って要らない人がいないですよね。スマホにおける水は、コミュニケーションです。その分野でトップになろうと試行錯誤しているうちに生まれたのがLINEでした。” (5%)
興味深いのは、同社で・・
” 会議も仕様書も、事業計画もない。”
という実態。厳密には事業計画はあるそうですが、
” 計画があると、つくり手は計画通りやろうとします。たとえば三ヵ月の計画が二ヵ月でできたら、もうちょっと何かやろうという話しになるし、
逆に本当はもっとかかりそうだったら、何か削ってしまおうとしてしまう。でも、それはユーザーにとって無意味なこと。
一番大事なものはいいものを早く出すことなので、つくり手もそれに集中してもらったほうがいいですよね。” (6%)
同社の隆盛は・・
” 結果的に収益が出たというところ ” (6%)
だそうで、
” とにかくシンプルに、ユーザーが求めるものをつくり続けるだけです。” (7%)
田原さんが、森川社長との対談を終え・・
” 「企業が収益化を考えると、ユーザーはそれに気づいて離れていく。だからいま(LINE社は)広告はやっていない」と言う。
こうした姿勢がユーザーを惹きつけ、結果的に収益の増大につながっている。儲けようとしないほうが、かえって儲かる。それがいまのビジネスのトレンドなのだろう。” (8%)
と総括。多くの方が独自性を感じる経営スタイルと思いますが、結果が出ているだけに、新しい経営の在り様となるかもしれないですね。
その中でもユーザー目線、スピード重視は特徴的です。
因みに、同社の収益は
” ゲームやスタンプといったコンテンツの売り上げが大きいです。” との事。(7%)
「僕の幸せの大部分は、人の幸せが占めています。」by スタートトゥデイ前澤友作社長
スタートトゥデイ(日本最大級のファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営)の前澤社長は・・
” 「争うのは嫌い」” (9%)
との肌感覚から
” うち(スタートトゥデイ)の基本給とボーナスは、全従業員一律。成果報酬にして、仲間同士で競い合うより、楽しく働けますから。・・中略・・
いまは、競争するより協調したほうが、「経済合理性」がある。競争によって刺激されなくても、みんなお客様にとって便利なもの、新しいものを自発的に生み出すマインドになっている気がします。」” (13%)
前澤社長の哲学は
” 僕の幸せの大部分は、人の幸せが占めています。じゃあ、どうやってまわりの従業員やスタッフ、その先のお客様や取引先、株主のを楽しませたり驚かせたりすることができるのか。
それを考えてやってきたら結果的に儲かっていたという感覚 ” (13%)
収益に目的とせず、結果的に収益が出たとの経緯は、LINEの森川社長と共通した流れですね。
因みに同社では
” 一二の五月から、九時出社で午後三時に終わる「六時間労働制」を始めました。仕事は短時間で集中して終わらせて、もっとよそで学んだり、遊んだほうがいい。” (11%)
との経営判断。「よく遊ぶが良い」との指摘は、先週、講義を受講した藤原和博さんからのメッセージと一致します。
>> 藤原和博さんが教えてくれた「それぞれ一人一人」の時代の「稼ぎ方」:神田昌典ビスネスプロトタイピング講座 その壱 <<
ブレる事なく、我が道を行き、思いを遂げている時代の先導者たち
この他、事業規模の違いはあれども、それぞれも思いをビジネスで体現された方々の体験談、時代を視る目、経営感覚について語られていますが
共通して感じられた事は、他者に惑わされない視点、感覚。必ずしも利益追求ではない点。自然体である点など。
特に、貢献や感謝される事の重要性に重きを置かれている方が多い印象。
世代の違いもあり、価値観を異にする田原総一朗さんが、まっさらな感じで斬り込む感じが、読者の立場と近く、感情を共有しやすい仕上がりとなっています。