元外務省主任分析官で著書が多数に及ぶ佐藤優先生の『牙を研げ 会社を生き抜くための教養』を読み始めて
全八章あるうち三章までを読み終えたので、そこまでのおさらい。
ダークで只ならぬ雰囲気の表紙が中身への興味を掻き立てられましたが、
「会社を生き抜くための教養」とのサブタイトルが掲げられ、
『社会人のための使える教養』(2016年1月〜3月)及ぶ『ビジネスパーソンのための新書読書術』(2016年8、9月)の講座中に取り上げられた内容に大幅加筆、修正が加えられたもの。
読み終えたところは、
第一章 中間管理職のための仕事術
第二章 ビジネスパーソンのための宗教入門
第三章 論理力を鍛える
という章立てのもと、内容は第一章を例にすると、
マキャヴェリ『君主論』に学ぶリーダーシップ
” 指揮、リーダーシップの基礎は、指揮官の決断力にある。だから、決断力というのは重要で、いったん何か決めた後は動揺したらいけない。
仮に動揺することがあるならば、部下が「こいつを信用して大丈夫なのか」「ついていって大丈夫なのか」と、不安に陥ってしまう。こうなると組織は動きません。
じつはこの項目は、マキャヴェリの『君主論』から取られたものです。マキャヴェリの『君主論』のなかに、追従をいかに避けるかという、本の核心ともいうべき章があります。
指揮官になった場合、君主となった場合、一番危険なのは、周囲におべっか使いがたくさんやってきて、調子のいいことばかり言うことだとあります。
おべっか使いに惑わされると決断をまちがえてしまう。だから、率直に正確な情報を君主に上げられるような環境をつくらないといけない。
ただし、誰でも自由に物が言えるようにすると、誰も君主を怖がらなくなってしまう。だから、特定の人を君主が決め、特定の専門分野に関して意見を言わせるようにする。
そして、意見を聞いても、すぐには反応しない。話を最後まで聞いて、情報の根拠は何なのか、といったことについては聞く。
しかし、自分がその情報についてどう思っているのか、評価はその場では絶対に言わない。なおかつ、もし部下が、自分が喜びそうな情報をあえて持ってきているという場合は、露骨に嫌な顔をする。
そのようにして、情報自体は何人かの専門家から取るけれども、決断は自分でおこない、ひとたび決断をしたら、強い意志をもって遂行する。
こういうやり方をすれば、部下たちが離反することもなく、物事というのは比較的真っすぐに遂行することができると書かれています。”(p17-18)
独断専行のススメ
” 独断専行というのは組織にとって命ともいうべきものです。中間管理職でも、もし上司になったらどういう行動を取るかという発想をつねに持ってやれるかというのはとても重要です。
独断専行ができないようなら、指示待ち人間とみなされます。ただ、上司の考えに反することをしたらいけない。そこで「うまくやる」ということが重要になってきます。”(p28)
という具合、古典などで説かれてある内容を、現実社会で如何に落とし込めるかといったことが書かれてあります。
教養を研ぎ澄ませた実践の書
当初は、先週末の合宿講座を受講するにあたり、
「サインもらう用・・」といったよこしまな要素もありましたが、
一旦、読み始めると教養に止まらない実践的な内容、ヒントが散見され、一気に引き込まれていきました。
読了時に改めて、内容について振り返りたいと思います。