先日、中間記をアップロードした
佐藤優先生の「牙を研げ 会社を生き抜くための教養」を読了。
中間記を書いてから後の部分は、
第四章 教養としての地政学
第五章 貧困と資本主義
第六章 ビジネスパーソンのための日本近現代史
第七章 武器としての数学
おわりに 体験的読書術
という構成。
苦手を克服する方法
全体的な印象としては、前半(〜第三章)では社会人として「独断専行」の絶対的必要性をはじめとして、
教養というよりは実践的な内容に主軸が置かれているとの感じを持っていましたが、
後半(第四章〜)は、
例えば数学の必要性に言及している第七章で、佐藤優先生が外務省で研修指導官に従事されていた頃、
日本の大学院卒で外交官試験に合格している二名をモスクワの国立高等経済大学に送り込んだところ、二人とも成績不良で退学になってしまったというエピソード(p228)から
外務省はおろか財務省に勤めるエリートですら数字に弱いとの状況を指摘し、
数学抜きでもやり抜けられる教育制度の弊害し、国際的な競争力に伍すための
” 数学に関しては勉強する環境や書籍はものすごく整えられています。だから毎日二時間ぐらいとりあえず二ヵ月、時間を割いてみれば、かなり抵抗感がなくなるのではないかと思います。”(p261)
” 公文式というのは、自分との闘いで、基本的に褒めてできるようにするという日本独特の教育法だから、絶対に不快感を抱きません。
週二回公文に通う習慣がつけば、中学までの数学だったら、仮に小学校の範囲からスタートしたとしても半年で追いつきます。”(p234)
など、社会人として勝ち残っていくための必須事項、考え方が示され、適宜、凹みが生じている部分への具体的な処方箋も記されています。
佐藤優先生が推奨する本の読み方
また、佐藤優先生の本を手に取った読者の多くが関心を持っているであろう読書術についても、本の終章で
” 東大をトップで卒業した山口真由さんは、本は七回読めばいいと言いますが、たしかに七回読めば、それは完璧に頭に入る。
ただ、通常の人間の忍耐力で、同じテキストを七回読むというのは相当たいへんです。
だから、七回とは言わないけれども、基本書は三回読んだほうがいいと思います。
一回目は飛ばし読みで構わない。わからないところは全部飛ばして、二回目では全部ちゃんと文字を追って読む。
それで三回目に書き込み、あるいは抜粋したらいいと思います。ちなみに本というには書き込まないといけません。”(p274-275)
と言及されており、一読して教養に関する引用を学びとすることは難しくとも、
それを容易にする勉強法にテクニックの記述も散見され、本書の読み方の一つになると思います。
全体で約280ページに及ぶ長尺でしたが、広範に及ぶ教養で抑えるべきポイントに視座に、それらを獲得する方法が示され、教養の手引書といった位置づけで有用性の高い一冊であるような感想を持ちました。