時代を動かす、「0から1へ」の原点
恐らく今、ビジネス書カテゴリーで話題の書、ピーター・ティール著『ゼロ・トゥ・ワン』を読了。
>> ピーター・ティールが描く、そこに広がる未来:『ゼロ・トゥ・ワン』読み始め <<
本の最後部にピーター・ティールが本著を上梓した背景について
” 今僕たちにできるのは、新しいものを生み出す一度限りの方法を見つけ、ただこれまでと違う未来ではなく、より良い未来を創ること ー
つまりゼロから1を生み出すことだ。そのための第一歩は、自分の頭で考えることだ。” (97%)
と書かれていますが、因みに昨年「ゼロ」を上梓されたホリエモンこと堀江貴文さんは
” もし、あなたが「変わりたい」と願っているのなら、僕のアドバイスはひとつだ。ゼロの自分に、イチを足そう。” (P33)
と序章部分(0章)で書かれていた事を思い出し、二人の著者の背景は異なりながらも、原点となる考え方に共通する部分が読み取れますね。
なお前回・・
>本を読み進めていくうち、ピーター・ティールの世界観が伝わ>って来る感じがして、解がおぼろげに見えてくる感覚も得られ>てきます。
なんて事を申しましたが、本の中盤以降、そうは問屋が卸してくれず(笑)私の理解力を上回る高度で、ピーター・ティールの世界観が提示され
一読して、ピーター・ティールの世界観を体系的に理解する次元には至らずも、思考、発想のヒントは複数得られました。
不確かな未来、ベンチャーと「べき乗則」
未来に関して・・
” ゴールドマン・サックスに入社すれば、金融業界にいてもすべてがあやふやだとわかる。未来はまだ明るい ー 負けると思えば市場で勝負しないはずだ ー
ただ、「ランダムさ」こそ市場の基本原則だ。専門的なことや本質的なことは分からないのだから、分散投資こそが何より重要となる。” (38%/百分率は紙の本でいうところのページ数に相当/以下同様)
” 将来価値の問いに対するいちばん一般的な答えは、分散されたポートフォリオ ー 「すべての卵をひとつのカゴに入れるな」とよく言われるやつだ。” (49%)
方やベンチャーの投資リターンに対しては・・
” この「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」作戦では、たいていひとつも当たらずに、ポートフォリオはゴミの山になってしまう。
ベンチャーのリターンは正規分布ではないからだ。むしろベンチャーに当てはまるのは「べき乗則」だ ー 一握りのスタートアップがその他すべてを大幅に上回るリターンを叩き出す。
だから分散ばかりを気にかけて、圧倒的な価値を生み出す一握りの企業を必死に追いかけなければ、その稀少な機会をはじめから逃すことになる。” (47%)
” 起業するなら、かならずべき乗則を心にとめて経営をしなければならない。いちばん大切なのは、「ひとつのもの、ひとつのことが他のすべてに勝る」ということだ。” (50%)
” べき乗則を否定して正しい判断を下すことはできないし、いちばん大切なことはたいてい目の前にはない。それが隠れていることもある。
それでも、べき乗則の世界では、自分の行動がその曲線のどこにあるのかを真剣に考えないわけにはいかなくなる。” (50%)
チームで創る未来
その他で、印象に残ったフレーズは・・
” 何かを始めるにあたって、最も重要な最初の決断は、「誰と始めるか」だ。” (59%)
” 今スタートアップに投資する時には、創業チームを調べる。技術的な能力や補完的なスキルも重要だけれど、創業者がお互いをどれだけよく知っているかや、一緒にうまくやっていけるかも同じくらい重要だ。
起業前に経験を共有している方がいい ー そうでなければサイコロを振るようなものだ。” (59%)
” チームの存在がなければ、ゼロから1を生むことはとても難しい。” (59%)
” 企業にとって文化とは持つものじゃない。企業そのものが文化だ。スタートアップとは使命を共有する人びとの集まりであって、良い企業文化とはその姿を反映しているにすぎない。” (63%)
” 絆が強いほど、居心地よく仕事も捗るし、ペイパル以降のキャリアもうまくいくと考えたのだ。そこで、僕たちは一緒に働くことを心から楽しんでくれる人たちを雇うことにした。
才能はもちろん必要だけれど、それよりも、ほかでもない僕たちと働くことに興奮してくれる人を採用した。それがペイパル・マフィアの始まりだった。” (64%)
” スタートアップは少人数で経営資源も限られている。素早く効率的に動かなければ生き残れないし、それには同じ考え方の人が集まっている方がやり易い。
初期のペイパル・チームがうまくいったのは、全員が同じタイプのおたくだったからだ。” (65%)
何でも、
” ペイパルの創業者六人組のうち、四人は高校時代に爆弾を作っていた。” (89%)
そうな(笑)チームメンバーを集めた上で、効果的な施策の実行も重要で、
” ペイパルの経営者として僕が取った最善の策は、ひとりにひとつの責任を任せることだった。” (65%)
といった点にみ配慮が成されており、留意すべき事柄となる。
ペイパルの桁外れの成長を支えたアクションとは・・
” プロダクト自体に友人を呼びこみたくなるような機能がある場合、それはバイラルする。フェイスブックとペイパルがあっという間に広がったのはそのおかげだ ー 友だちと何かをシェアしたり支払いをしたりするたびに、より多くの人が自然にネットワークに招き入れられる。” (72%)
” いい会社ならPR戦略がなくても賞賛されると思い込んではいけない。君がバイラルな販売戦略をとっていて、ユーザーの獲得にマスコミへの露出は必要ないとしても、
マスコミは投資家や社員を惹きつける助けになる。君が雇いたくなるような優秀な人物なら、事前に君の会社を調べるはずだ ー そのグーグル検索の結果が、君の会社の成功に決定的な影響を与えるだろう。” (73%)
” 誰もが売り込みに影響される。社員であれ、創業者であれ、投資家であれ、君とコンピュータしかないような会社だとしても、例外じゃない。
周りを見回してみるといい。営業マンがいないとしたら、君自身がその営業マンなのだ。” (73%)
” ペイパルの最初のユーザー数は二四人で、全員がペイパルで働いていた。バナー広告による顧客獲得はコストがかかりすぎるとわかった。
そこで、僕たちは加入者に直接キャッシュバックを行ない、さらに友だち紹介に現金を支払うことで、桁外れの成長を遂げた。
この戦略の顧客当たりの獲得コストは二〇ドルだったけれど、顧客数は毎日七パーセントずつ増加し、一〇日おきに顧客数は倍増した。
四、五か月後には数万人のユーザーを獲得し、少額の送金手数料を課金することで偉大な企業へと発展するための足場を確保した。
手数料収入は最終的に顧客獲得コストを大きく上回った。” (72%)
” ペイパルはランダムに顧客数を増やすつもりはなかった ー 最も価値の高いユーザーを最初に獲得しようとした。 ・・中略・・
ニッチで送金頻度の高いセグメントを探す必要があった。それが、イーベイの「パワーセラー」、つまりネットオークションでの商品売買を生業にしている人たちだった。” (72%)
” ニッチを見つけて小さな市場を支配しなければ、価値ある企業にはなれない。” (88%)
ビジネスプランの成否を分つ「どんなビジネスも答えを出すべき七つの質問」とは
ピーター・ティールが優れたビジネスプランを裏付けるための7つの問いを下記の通り上げており、最後の締めとして選択。
”
1. エンジニアリング:段階的な改善ではなく、ブレークスルーとなる技術を開発出来るだろうか?2. タイミング:このビジネスを始めるのに、今が適切なタイミングか?
3. 独占:大きなシェアがとれるような小さな市場から初めているか?
4. 人材:正しいチーム作りができているか?
5. 販売:プロダクトを作るだけではなく、それを届ける方法があるか?
6. 永続性:この先一〇年、二〇年と生き残れるポジショニングができているか?
7. 隠れた真実:他社が気づいていない、独自のチャンスを見つけているか?
・・中略・・ どの業界かにかかわらず、この質問すべてに答えるのが優れたビジネスプランだ。
もしきちんとした答えがないのなら、君はたび重なる「不運」に見まわれて、会社は破綻するだろう。
七つの質問すべてにしっかりと答えられれば、運に恵まれ成功するに違いない。” (81%)
といったところ。消化不良の部分も多いですが、チームの重要性であったり、7つの質問など、読めば明瞭な指摘も随所にみられ
己の成長に合わせて、本を開くと都度、学びを得られるであろう考え方、発想の幅を広げてくれる書と受け止めました。