サイモン・シネック『WHYから始めよ!』を読了。
>> サイモン・シネックがリーダーの本質を説き明かすゴールデン・サークルって?:『WHYから始めよ!』中間記 <<
WHY ⇒ HOW ⇒ WHAT が導くもの
「訳者あとがき」(訳者:栗木さつきさん)に・・
” さまざまな分野・業種の専門家を招いた講演会の動画を無料配信しているアメリカの人気サイト TED.com に、
二〇〇九年にワシントンでおこなわれたサイモン・シネックの講演会のようすがアップされると、大きな反響を呼んだ。
その後、この動画は記録的な閲覧数を誇る人気動画となった。 ・・中略・・
さまざまなレビューサイトでも、「動画で見て関心をもち、本書を購入した。すごくインスパイアされた!」” (p259)
とあり、正に自分はその経緯で本書を読みましたが、動画に本書のエッセンスが凝縮。言葉にすると同じく「訳者あとがき」の
” 行動を起こすときには、自分のWHY(大義、理想)を明確にし、そのれ軸にしてすべてを始めなければならない。
それができて初めてHOW(手法)を考えることができ、その結果、WHAT(成果)をあげることができるのだ。” (p260)
となります。
人は世界観にインスパイアされる
TED.comの映像を補完する役割を果たしてくれる本書でしたが、具体例を引用すると
Apple社の場合、
” アップルの言動はすべて、かれらの信念を具体的なかたちにした証拠となっている。
私が本書でよくアップルを引き合いにだすのは、アップルが厳しく自分たちのHOWを実行し、そのWHATにつねに一貫性が見られ、
好き嫌いはあっても、私たちがアップルのWHYをきちんと把握しているからだ。 ・・中略・・
大切なのは、WHATやHOWではない。HOWとWHATが、WHYと一致しているかどうかが肝心なのだ。” (p192)
キング牧師の場合、
” キング牧師には強い信念があった。アメリカには変化が必要だと、わかっていた。
WHYを明確にもち、目的意識を強くもっていたからこそ、とても勝ち目がないと思われる戦いに挑みつづける力とエネルギーを維持した。”
彼のように考えている人はほかにもいたが、敗北が度重なるとその大半が挫折した。 ・・中略・・
この国を真の意味で支える公民権を実現させるためには、集会にあらゆる人間を集める必要があった。
単に法案を通過させるだけではなく、国そのものを変えねばならない。「しなければならないから」ではなく、そう「したいから」、
夢を現実にするために国じゅうの人々に集結してもらえれば大きな変化を起こすことができる。 ・・中略・・
彼の信念は、公民権運動そのものより大きかった。彼はすべての人類について語っており、
人類がどう互いを扱うべきかを述べていた。もちろん、キング牧師のWHYは、彼が生まれた場所、時代、肌の色などの条件が組みあわさって形成された。
しかし、キング牧師にとって公民権運動は、自分のWHY、つまり人間は平等であるという信念を実際のかたちにするための理想的な基盤だった。
聴衆は彼の信条に耳を傾けた。そして彼の言葉に胸を打たれた。彼の信念を共有した人たちは、その信念を自分のものにした。 ・・中略・・
そして一九六三年の夏、二五万もの人々がリンカーン記念館の階段の上でキング牧師がおこなう演説を聞こうと集結した。
「I have a dream 」(アイ・ハブ・ア・ドリーム) で始まるあの演説を。
しかし、そのうちの何人がキング牧師のために集まったのだろう?
ゼロ。かれらは自分たちのために集まったのだ。そう、だれもが信じていた。アメリカをよりよい国にするうえで自分たちが一役買うチャンスだと考えたのである。
自分たちの価値観や信条が反映された国で暮らしたいと望んでいたのは、ほかならぬかれらであり、
だからこそキング牧師のスピーチをきくために八時間もバスに揺られ、八月半ばのワシントンの陽射しの下にやってきた。
自分の価値観と信条が反映される国に暮らしたいと望んでいたのはかれらだった。” (p150-152)
WHYを原点にする人たち
人をインスパイア出来るリーダーは、自分の信条を代弁してくれる(/ 世界観を表現してくれる)人で、その人が信じているものを体現している人。
サイモン・シネックが編み出したゴールデン・サークルの概念では、(世の大多数の人がWHATから思考する中で)WHYから思考する人。
概念が実例をもとに説き明かされており、近年読んだ本の中でも上位に位置する「また読みたい」の思いを抱かさせてくれる一冊でありました。