先日、読了記↓をアップロードした
荻原浩さん初エッセイ集『極小農園日記』の購入翌日に知った刊行記念トークイベントに参加。
荻原浩さんの登壇イベントは『ストロベリーライフ』刊行時の2016年10月以来 ↓
その時はサイン会であったので、お話しされる状況は初めてで楽しみに迎えた当日。
野菜づくりへの思い
前半は、編集担当者の柳悠美さんとのトークで、後半は参加者から事前に募った質問を受け付ける二部構成。
まず、本書が上梓された経緯について、
「エッセイ集を出しませんか?」といったオファーに対して、2008年10月から2009年3月まで毎日新聞で連載された「『極小農園日記 』の続編を書かせて欲しい」という思いから実現。
その辺りの経緯は、本書でも
” 僕が毎日新聞に『極小農園日記』を連載したのは、2008年の10月から翌年の3月までだ。
書きたいことはそれなりに書いたつもりだし、最初から半年間という約束だったから文句は言えないのだが、極小農園主としては書き足りないというか、多少の心残りがあった。
いや、正直に言おう。「多少」じゃなく、「大きな」心残りがある。それはなにか。いまこそ声を大にして言おう。
夏のことを書いていない!“(p255)
の一文に如実(太字、原文ママ)に示されていますが(笑)野菜づくりが関心の外にある自分としては
本書を開いての発見であった、2章 極狭旅ノート & 3章 極私的日常スケッチ に大いなる読み応えを実感していた自分は
「タイトル、『極小農園日記』でない方がいいんじゃ」なんてことを思っていたものの
荻原浩さんは「タイトルは是非コレでやりたい」という思い入れあってのこと。
そこから野菜づくりに傾倒していった経緯(フリーとして独立され、収入は増えたのに対して、時間の余裕が出来た)に、
オチが目立つ文章に関しての舞台裏(当初から意図したものではなく、書いている勢いから出てきたもの)に、
実は筆不精で、小説を書く以外、日記、手紙、ブログといったことは一切せず、メール、LINEを必要最小限にやりはしても、
LINEも殆どはスタンプといった荻原浩さんの日常に・・ トークは30分弱でしたが、話題は多岐に及びました。
文章力の源泉
一昨年のイベントでもお人柄に触れる機会となりましたが、お話しを聞いていると、
ギャップを感じることも多く、特に本書を読んだ時と一緒で、小説家の日常といったことは
(小説家志望でないながら)興味津々で楽しいひと時でしたが、印象的であったのは、
参加者からの「文章力は先天的なものか、練習すれば上手くなって行くものか?」という主旨の質問に対して、
「基本的な能力は、どっかから貰ったもの(=才能 と解釈)」とご回答されていたところ。
当然、使わない力は伸びていかないため、努力も必須。
文章については(スポーツの世界などと異なり)、いつ誰がどんな才能を発揮できるか分からない世界といえ、秘めた力のほどはやってみないと分からないと、
荻原浩さんご自身、フリーのコピーライター時代、長い小説を書けるとは思っておらず、
処女作『オロロ畑でつかまえて』書き上げた後も「ダメだろうな」と記念受験的な捉えをして、
次の応募を考えたりしている中で、実際は賞を獲ることになった経緯であったそうな。
それに関連して、内容がタイトルに引っ張られることがあるなど、タイトルの重要性について説かれ、
案をA4の紙に書き出しておいて、壁に貼り、時間の経過とともに違和感のあるものは段々と落として行き、残ったものの中から選んでいくといったプロセスなど、
この場で初めて聞けるお話しがたくさんで、終わってみれば75分が流れるが如く過ぎ去っていきました。
直の交流に、タイガース話しにの+α
その後、サイン会に移行。
荻原浩さんのサイン本にはイラストが描かれていることが一般的(元々はマンガ家志望であったそうな)で、
「好きな野菜を一つ描きます」とのお題に、自分はピンと来るもの(野菜)なく、阪神タイガースファンという親近感抱く共通項から
「阪神タイガース的なもの(イラスト)を」と脱線気味なリクエストを発すれば ^^;
ペンを走らせ、「トラッキーってどうだったっけ?」と快諾頂き、その間「今年も厳しそうですね」とかファン談義を交えつつ
表は、もともとサイン本で購入していたものに
為書きと日付を+
裏にはレアなイラストも加筆頂くという嬉しい展開でした。
最後は記念撮影にも応じて頂き、普段は仕事帰りに立ち寄ることの多いインストアイベントですが、
週末の開放感とあいまって、心弾された時間を有難く過ごすことが出来ました。