元テニスプレーヤーで、現在はスポーツキャスターなどとして活躍されている松岡修造さんの
『弱さをさらけだす勇気』を読了。
書店に立ち寄った際、サイン本の販売を見つけ、
書に手に取っていた経緯。
「弱さ」が切り拓く未来
” 自分の「弱さ」と向き合えば、僕たちはもっと成長していけると思います。”(p229)
という松岡修造さんのメッセージの下、
” あなたがいままでやってきたことで、無駄になることなどひとつもありません。すべてあなたの財産になり、のちのち生かすことができるんです。
それに気づくか気づかないか、生かすか生かさないかの違いがあるだけです。
少年時代の僕が、水泳の練習のきつさや単調さに耐えられなくなったのは、明らかに自分の心の「弱さ」のせいでした。
でも、それがきっかけで、その後の人生を拓いてくれるテニスという別のスポーツに出会いました。
そのときは、未来のことなどまったく考えずに、ただ自分の心の声に従っただけでした。
だから思います。いまある「弱さ」を全否定する必要はないんじゃないかな。
それが自分を変えるきっかけになるなら、「弱さ」もある種の武器になると僕は思うのです。”(p43)
と、松岡修造さんのこれまでの経験に基づくお話しであったり、
さまざまなアスリート(オリンピック出場選手、プロテニスプレーヤー)の経験談、考え方がタイトルに絡めて紹介されていますが、
印象的であったのは、フィギュアスケーター 羽生結弦選手が「緊張したとき心をどうコントロールするか」について
” 「ヤバイ」という感情の奥には焦りがあり、焦りの奥には不安があります。
突き詰めると、本当にちっぽけなもので、楽しさとか感謝の気持ちでどうにでもなる。
感謝の気持ちをもって滑ることがカギなんです」”(p193)
と、回答していた部分。緊張のメカニズムを噛み砕いて理解している部分、並々ならぬ自分と向き合う強さを感じました。
世の中、頑張っていないものはひとつもない
松岡修造さんは、フィギュアスケーター 織田信成さんの著書(『フィギュアほど泣けるスポーツはない』)での対談時も
” 織田さんと僕の一番の共通点は、「メンタルが弱い」ことだと思うんです(笑)。”(p83-84)
との発言から対談が盛り上がっていたことを記憶していて、
そのことを一冊で深掘りされるといった感じで読み進めましたが、
底流には、
” テニスの現役を卒業してから20年がすぎました。その間にいろいろな方々とお会いしてきたなかで、「本当の意味での人の評価は、目に見える成功だけでは測れない、
いちばん大事なことは、その人がどう生きているかなんだ」と、心から思うようなりました。」”(p230)
という人生観であったり、何より、
” 「世の中、頑張っていないものはひとつもない」という視点で自分の周囲を見まわせば、応援メッセージの素材はいくらでも見つかります。”(p217)
という姿勢が、本書の切り口(=自分の「弱さ」と向き合えば、僕たちはもっと成長していける)を通じて、読者の背中を押してくれる感覚に浸らせてくれる一冊です。