先週から読み進めていた『影響力の武器』を読了。計447ページ、ふぅ〜
>> チャルディー二博士に学ぶ人間心理のメカニズム:『影響力の武器』読み始め <<
>> チャルディー二博士に学ぶ人間心理のメカニズム:『影響力の武器』中間記 <<
「読み始め」「中間記」と2回に分けて書きましたが、最後の3章は
第6章 権威
第7章 希少性
第8章 てっとり早い影響力
権威は人を無防備にする・・
「権威」の章は、「導かれる服従」とサブタイトルされ、
” 権威からの要求に服従させるような強い圧力が私たちの社会に存在することがわかる。
権威者から命令されると、正常で心理的に健康な多くの人たちが”、自分の意に反していても逆らうことなく、極度に危険なレベルの痛みを他者に与えた。
正当な権威者に従おうとする力は、そのような服従が正しいという考えを社会のメンバーに植え付けようとする、体系的な社会化からの訓練から生じている。
さらに、本当の権威者は優れた知識と力をもっているのが普通なので、そうした人の命令に従うことは適応力の行為である場合が多い。
このような理由から、権威者に対する服従は、一種の短絡的な意思決定として、思考が伴わない形で生じてしまう。” (p371)
人は、自由を奪われる事に反応する
「希少性」については、
” 希少性の原理によれば、人は、機会を失いかけると、その機会をより価値あるものとみなす。
この原理を利益のために利用する技術として、「数量限定」や「最終期限」といった承諾誘導の戦術があげられる。
これを使う人びとは、自分たちが提供しているものは、販売する量や期間に限りがあると私たちに信じ込ませようとする。
” 希少性の原理が効果を上げる理由は二つある。一つには、手に入れにくいものはそれだけ貴重なものであることが多いので、
ある品や経験を入手できる可能性がその質を判定するてっとり早い手掛かりとなるからである。
もう一つには、ある品やサービスが手に入りにくくなるとき、私たちは自由を失っているからである。
この場合、私たちは以前よりも自由(および自由に関連する品やサービス)を欲するという形で、自由の喪失に対して反応する。” (p425)
ショートカットされる意思決定
最終章では、
” どのような状況においても、私たちはできるだけ思慮深く、十分に検討を加えた上で決定を下すことを望んでいるが、
現代生活の形態が変化し、ペースが加速度的に速まってきたことで、賛否両論を注意深く分析するのに適した条件が整わない場合が多い。
そのため、別の意思決定のやり方 ー 普段信頼性の高い、単一の情報を基礎にして承諾(あるいは同意、信用、購入)するかどうかを決める、というやり方 ーに頼らざるを得ない場面が次第に多くなってきている。
本書では、承諾を引き出すきっかけとなるそうした要因のうち、最も信頼性が高く、それゆえ最も頻繁に使われてものについて述べてきた。
そうした要因とはすなわち、コミットメント、返報の機会、類似した他者の承諾行動、好意あるいは友愛の感情、権威からの命令、希少性に関する情報である。”
” 私たちの社会では認知の過剰負荷傾向が強まっているので、それに比例しててっとり早い意思決定を行う機会が増えている。
そのため、相手への要請のなかに、影響力の起爆剤をいくつか忍ばせるタイプの承諾誘導の専門家はますます成功しやすくなっている。” (p443)
と本の総括的内容が記されています。
意図した結果を得るため適切なキッカケの与え方、の学び
「希少性」の考察など、我が身を重ねて読み進めましたが(笑)人間心理には多くの人に共通する傾向があり、
要はそれを分かっているか、否か。分かっていれば、世にそれを「スキル」として伝授する人であったり、書籍であったり。
本書は後者(書籍)の代表例といえますが、本の締め括りで
” 承諾を引き出すきっかけが、状況にもともと備わっていたわけではなく、捏造されていた場合にのみ、それは不正なものとなる。
私たちが思考の近道によって得られる利益を失わずにいるためには、あらゆる適切な手段を使って、そのようなインチキに対抗することが重要である。” (p444)
とあり、用いる方は適切な提示によって。
用いられる方もこれら本で書かれた傾向を認識した上で、溢れる情報、スキルに対して正しくリアクト出来るようになる。
本全体と向き合うと量、結論を裏付ける事例に圧倒されますが、各章の最後に設けられた「まとめ」を活用するなどで、
人間心理の大原則、それを踏まえた上で他者への効果的な働きかけを学べる事が出来る一冊でした。