水道橋博士の『長州力の最後の告白』を読み始めて
全6章(別途 長州力x水道橋博士 対談等)あるうちの第4章まで読み終えたので、そこまでのおさらい。
田崎健太さんの渾身作『真説・長州力』があって
「また、長州?」と私自身含め多くの人が思いがちなところ、それは著者の水道橋博士も当初同様で、
本の冒頭に
” 「博士、宝島社から長州力のインタビュー本をつくりませんか?というオファーをいただきました」
今年の春先、マネージャーの「F」がボクに告げた。まず、「なぜ?」と腑に落ちなかった。
なぜなら、長州力の本格的評伝はは『真説・長州力』がすでに3年前に出版されている。
この評伝、ノンフィクション作品に対するボクの評価は著しく高い。”(p2)
とあり、実はオファーの発端は(下掲の対談/動画がトリガーとなっての)長州力さんからのご指名で、企画骨子が
” ボクが一観客として長州になにを聞きたいのか、年表をもとに構成、編集者に語り、それを踏まえて長州力に断片的に聞いて行った。本書は、その証言録だ。”(p8)
となり、発刊に至った一冊。
週プレ大学「長州力 x 高田延彦 今こそプロレスのSOUL(魂)を熱く語れ!!」
水道橋博士の視点、切り込む深層
興味深かったのは
” 当時はいまのように、脇役を評価するような風潮が一般にはない時代で、聴衆は、鳴り物入りなんだけど、足踏みを繰り返す、うだつが上がらないレスラーの象徴のようだった。”(p17)
という「噛ませ犬」発言前の長州力評に「そういえば、そうだった」と私自身がプロレスに出会った頃の感覚を引っ張り出されたり、
長州力さんが
” 僕やアキラ、高田なんかが新日本を飛び出したっていうのは、結局は会長が「インパクトの粉」を振った結果なんですよ。
そのインパクトの粉というのは、誰にも振られるわけではないし、振られたところでどうするのかは、その選手次第。”(p47)
と発言したことに対し、水道橋博士が、
” 「インパクトの粉」という独自の表現が飛び出したのには痺れた。
余談になるけど、ボクは前田日明の「カッコウの巣」理論を思い出した。前田が猪木のことを、カッコウにたとえて、このように語った。
「猪木さんの毒なしで生きられなくなってしまったレスラーは多い。猪木さんの毒に対する抵抗力の強い人間には、カッコウの巣を産みつける。
カッコウは、モズやホオジロなどのほかの鳥の巣に卵を産む。そして、卵がかえると、カッコウのヒナは、自分の周りの卵をすべて巣の外に落としてしまう。
とんでもない習慣を持った鳥だよね。猪木さんは、カッコウと同じように他人の人格のなかに猪木イズムを産みつける。
成長しながら、その人間個性や感覚を消していくんだ。つまり猪木イズムがカッコウのヒナなんだよ」”(p48)
という件(くだり)に・・
交差する水道橋博士と長州力さんのアングル
水道橋博士が紐解くプロレス史に、動乱の新日本プロレスを支えた長州力さんの証言が加わり、本書の性格(存在感)を特長づけているように感じています。
後半は
第5章 長州力引退と「大仁田劇場」の結末
第6章 格闘技と「新日本暗黒時代」の長州力
特別収録 長州力 x 水道橋博士 対談「プロレス芸人論」
詳細 長州力完全年表
おわりに 水道橋博士
という構成。
私自身の記憶、解釈があやふやになっている時期への言及で、読んで初めて知ることも少なくなかろうと(楽しみです)、
読了時に改めて、引っ張り出された感情に感覚をまとめたいと思います。