先日、中間記をアップロードした
『いちばんやさしい美術鑑賞』を読了.-
前半:(第1〜7章)西洋美術を観る、後半(第8〜15章)、日本美術を観る、という構成から
今回は主に日本美術に関する内容から。
芸術鑑賞、とどのつまり
と、その前に著者のTakさんの美術論が
“芸術鑑賞はとどのつまり、自分の美意識に希求されるものです。
料理の美味い不味いはある程度コンセンサスを得られるものですが、芸術に関しては大きく意見や好みが分かれてしかるべきで、
知識を有しつつ「常識」に捉われずに向かい合えるようになりたいと常日頃思っています。”(p214)
と、美術鑑賞のハードルを下げてくれる発言で頼もしく感じ、一冊を通して印象的な一文でした。、
日本画の真骨頂とは
日本美術に関しては、日本画が俎上に乗った際を例とすると、
” セザンヌにせよマティスにせよ西洋美術の人物画は対象である人物だけでなく、部屋の中にある様々な物に色を重ねて描き込んでいます。
それに対し、日本画は絵本や和紙に薄い岩絵具や墨などを用い、極力少ない線で表すのを佳しとしてきました。
いかに正確に描くかではなく、いかに省くかに力点が置かれているのです。
つまり線が日本画の場合、大事なファクターとなります。”(p226-227)
と、西洋画との対比で日本画の特徴が分かりやすく説明されており、
このことを知っているだけでも、美術館、美術展での滞在がより楽しめるように感じています。
より美術を楽しむための
先日の本書に関するトークイベントでは
これまで美術とファンの間で動く人がいなかった、といった意の発言があり、だからこそのTakさんに注がれる熱視線であるものと。
聞けば、続々と話題の展覧会が控えているようで、もっか私のアンテナ(感性)に引っかかってくるのは不存在であるも、
口コミ、鉄道駅に掲示された広告などで、予感めいたものを感じたり、感性を刺激された暁には、
鑑賞直前などのタイミングに合わせ、本書を引っ張り出して、また親しんでいきたい思わされる一冊、でありましたー。