一時、社会を騒然とさせた村上ファンドを率いた村上世彰さんの『いま君に伝えたいお金の話』を読了。
本書の刊行記念のイベント(トークショー&サイン会)開催を知り、
(イベント)当日なって読み始め、子ども(主として中高生)向けに書かれている読み易さもあり、一日で読み終えたもの。
どのようなことが書かれてあるのかというと・・
” 僕は「投資家」という仕事をしています。投資家というのは、お金を増やすのが仕事です。
どうすればお金が一番増えるかというメカニズムを、誰よりも理解している、つまり、お金について誰よりもよく知っている。お金のプロだという自負を持っています。
そんな僕が、この本を書いたのには理由があります。
「子どもはお金のことなんて考えなくていい」そう考える大人が、この国には少なくありません。
・・中略・・
大人になったら、誰もが生きていくためにお金と付き合う必要が出てくるのだから、お金の勉強をするのに早すぎるということはない。
むしろ、できるだけ早いうちからお金について考える習慣をつければ、その分、お金に関して「しなくていい苦労」が減るはずです。”(p7-8)
とのお考えから上梓された著書。
お金が持つ本当の力
ポイントを抜き出すと、お金の特質として
” 一番大切なのは、「自立して生きていくためには、お金は絶対に必要である」ということ。
次に、「やりたいことをやるには、余分なお金があったほうがいい」ということ。
そして「困ったときに、お金は君を助けてくれる」ということ。
さいごは、おまけとなりますが、「君がお金を持っていれば、人を助けることができる」ということです。”(p33)
そして、お金を増やしていくには、
” 投資家をしていつも強く感じるのは、お金には周りを巻き込み、社会を豊かにする力があるということです。
社会を豊かにするためには、お金が社会のなかをめぐることがとても大切です。
この「お金の流れ」を止めてはいけない。・・中略・・
僕は君に、「稼いで貯めて、回して増やす」というお金との付き合い方を伝えたいのです。
増えたお金はまた回す。「回す」というのは、自分の幸せのためにお金を使ったり、増やすために投資をしたりして、自分の手元から一旦放すこと。
稼いだお金のすべてを手元に貯め込んでしまうと、「お金の流れ」がストップしてしまいます。”(p11-12)
という考えに、実践が大事。
期待値で判断する投資
投資については本書とは別途、学習が必要ですが、一つ大きく(再び)学べたのは「期待値」という考え方。
” 通常、期待するリターンの高さとリスクの高さは一緒に上がったり下がったりします。
株式投資におけるリスクとは、自分が出したお金が全く返ってこない、もしくは大きく減ってしまうことです。
20 x 10% + 0 x 90% = 2 という期待値のときに、100万円が2,000万円になる可能性は10%しかない。
でも、0円になってしまう可能性は、90%もあります。このように、ゼロになる可能性が非常に高いとき、ほとんどの投資家は「投資しない」という決断をします。
でも僕は違います。期待値が「1」を大きく上回っているのですから、僕は投資をします。
そして、2,000万円になる可能性を、10%からもっと上げることができないか、と考えるのです。”(p134-135)
期待値に関してのお話しは、昨年(2017年)の村上世彰さんの
特別セミナー↑でもうかがっていたのと、
先週の三戸政和さんの講演でも取り上げられた考え方で、お金について思考を巡らす際に欠かせぬものであろうと改めて。
温もり伝わるお金について学び、考える本
書店に立ち寄れば「お金」に関する本は数あれども、「お金儲けって悪いことですか?」発言で
世の中から集中砲火を浴びることになった村上世彰さんだからこそ語れる「お金」に、
「お金」について語る上では、村上世彰さんほど格好の人もいないであろうと、
お金の本質について、大人でも子ども向けに分かりやすく書かれた一冊です。
なお、現在、村上世彰さんはご自身の資金で投資活動を継続されているものの、
近年は子どもたちへのお金についての学びの機会の創出をはじめとする社会貢献についても熱心に取り組まれており、
本の後半で、ご自身の強みを発揮され寄付が集まる仕組みづくりに勤しまれている日常などについても紹介されており、
無機質なお金本に非ず、村上世彰さんの体温を感じることも出来ます ^^
次回、冒頭で触れたイベントの模様について取り上げたいと思います。