ジャーナリスト 有本香さんの『「小池劇場」が日本を滅ぼす』を読了.-
先月(2018年11月)参加した百田尚樹さんの『日本国紀』刊行記念サイン会👇に、
有本香さんも参加されていたことをきっかけに購入したもの。
豊洲移転問題で照らされなかった闇
本を開いたところの「 はじめにー ないない尽くしの小池ファースト劇場」で、
” ビジョン・政策がなく、正当な手続きがなく、ファクトに基づくロジックがない。
ないない尽くしで、ただ騒がしく他人を叩くだけのワイドショー政治。”(p8)
と本書が出版された2017年6月時点で警鐘を鳴らし、本編で具体的に
” 地方議会はおもに、権限の強い行政の長の独裁・暴走がないよう牽制し、首長の指揮のもとに執行される役所の仕事が正しくあるかをチェックする役割を負う。
この点から見ると、小池のつくる「都民ファーストの会」なる会派から都議会議員選挙に出ようという人たちが、
「小池知事を支えて」「小池都政のために」と言い募るのはおかしなことで、自らの役割をわかっているのか心配になる。”(p21)
小池百合子東京都知事就任後、世間を騒然とさせた豊洲市場移転時に発覚した諸問題について
” 佐藤(註:建築家 佐藤尚巳さん)によれば、根本的な問題は、技術者は当たり前だと思っていたことが、事務方の人たちは理解できていなかったことにあるという。
これは、小池劇場という現象を見る上できわめて重要なポイントだ。
専門家とそれ以外の人の知識と理解の差。そこへ、知識のある者がつけ込めば、一般人が「謎」と思うような風評・デマをつくり出し、不安を煽ることも容易である。”(p37)
また、
” 奇妙かつ忌々しきことに、都民が「安心」を得るに必要な重要情報は積極的に広報されていない。
その一例は、平成28年12月28日に、東京都が豊洲新市場の建物の安全性確保と建築基準法に適合することを証明する「検査済証」を発行した件だ。
豊洲の建物に関する「安全宣言」に等しいこの事実を、小池率いる東京都は2月下旬まで公表しなかった。”(p39)
といった具合に、小池都政の危うさが、就任時からの検証をもとに指摘されています。
チェック機能不全
本書を読むと本来チェック機能を果たすべきマスコミが、小池百合子東京都知事に掌に乗せられてしまい、
渦中で本質を炙り出せなくなってしまっている(是々非々とならない)実態に今一度、危惧を抱きました。
豊洲移転問題のほか、東京五輪開催に絡む諸問題に関しても分量が割かれており、
こちらはこれから本番。断念せざる得ない事がら(環状2号線開通)もあり、
どのように懸案事項に対応、解決が図られていくのか、(マスコミのスタンスに限定されず)豊洲市場移転時と同じ轍を踏まぬよう本書で示されたケーススタディが活かされますよう。