筒井康隆さんが描いたスパイがはびこる社会、核が拡散された世界 etc:『アフリカの爆弾』読了

筒井康隆さんの『アフリカの爆弾』を読了。

数多ある筒井作品の中でも代表作に数えられることを承知していて、

しばし、頭の読みたいリストに載っていて巡ってきたこのタイミング。

最初、長編かと思いきや

 ・ 台所にいたスパイ

 ・ 脱出

 ・ 露出症文明

 ・ メンズ・マガジン一九七七

 ・ 月へ飛ぶ思い

 ・ 活性アポロイド

 ・ 東京諜報地図

 ・ ヒストレスヴィラからの脱出

 ・ 環状線

 ・ 窓の外の戦争

 ・ 寒い星から帰ってこないスパイ

 ・ アフリカの爆弾

の12作収録。

スパイ、人気俳優、異空間等・・

どのような話しが収録されているか、巻末の平岡正明さんの「解説」から拾うと

” 台所にいる女房がスパイだったらどうかとか(「台所にいたスパイ」)。テレビと現実がごちゃまぜになったらどうかとか(「脱出」)。

顔のうつる電話機のある生活はどんなものとか(「露出症文明」)。美女のシリからサナダムシが出てきちゃったらどうかとか(『メンズマガジン一九七七』といったような)”(p275)

そしてハイライトの「アフリカの爆弾」は

対立する隣の部落が核弾頭を購入したことから、

“『この国も。ミサイル買う』”(p226)

と核弾頭の具合が危なっかしいミサイルを国連軍から購入したことに始まるひと騒動・・

筒井康隆さんが1968年に予見していた未来

ドジなスパイを主人公が読後思い出され、(読んでいる)途中、「最後、どうなっちゃうんだろう・・」と何度も思わされましたが、

惹き込まれ具合は作品によってそれぞれでしたが、やはり「アフリカの爆弾」を読み進めている間のハラハラに

読後感は最も濃厚で、当時は売れなかったものの『筒井康隆、自作を語る。』の記載を拾うと

<< 2018年10月13日投稿:画像は記事にリンク >> 筒井康隆さんが、半世紀を超えるキャリア、作品へのわが思い入れに言及した『筒井康隆、自作を語る』読了

”  六八年には『ベトナム観光公社』と『アフリカの爆弾』が、続けて直木賞候補になっています。”(p40)

とあり、↑に続く文を読むとタイトル表記で一悶着あったようですが

初期?の頃の勢いのあった作品で、分かる人には分かられていた作品であろうと。

プロットは小説の素材としては苦笑い出来る次元ですが、現実が追いかけることがなきよう🙏


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