先月(2019年5月)、読了記をアップロードした
『見えないからこそ見えた光 絶望を希望に変える生き方』著者 岩本光弘さんの 全盲セーラー世界初の太平洋横断記念!講演会に参加。
但し、講演は太平洋横断に関する内容主体ではなく、
本(『見えないからこそ見えた光 絶望を希望に変える生き方』)中心に話されるとのこと。
訪れた3つの大きな転機
本は、絶望を数多く経験してきた岩本光弘さんが、如何に絶望を希望に変えて生きてきたかということに関して
1. 失明した時の絶望
2. 国家公務員を辞めてアメリカに移住した時の絶望
3. 6年前の太平洋横断が失敗した時の絶望
の3つのターニングポイントに分けてのお話し。
13歳の時から徐々に視力が失われていき、16歳で視力を奪われた時、自殺を決意し、後は足が橋を乗り越えられればという状況まで行ったものの
力入らず、一旦、昼寝をしたところ夢の中に亡くなった叔父が現れ、「こんなところで死んではいけない。お前を見て元気を貰える人がいる」と語りかけられ、
自殺を踏みとどまり、努力すれば出来なかったことが出来るようになるプロセスを繰り返し、ポジティヴに生きられるようになった。
安定を捨て、新たな環境へ
続いては公務員の立場で教職に就いていたもののアメリカ人の奥さまから
日本で生活していくことの不安、子育て環境を考慮して、リストで項目を精査するなど検討の上、アメリカ移住を決断。
アメリカの方が障害者の方々にとって住み良いイメージもあるところ、実際は点字ブロックに音声案内も殆どないそうで
安定生活を手放し、なかなか現地生活にアジャスト出来なかったところ
踏み出し続けていくことで徐々に所を得て、「今から振り返れば、行っておいて良かったな」と思えるまでに。
諦めるべからず
3つ目の航海失敗は、くじらが航行中の船舶に衝突し、救命いかだで11時間漂流を余儀なくされ海上自衛隊に救助。
日本に戻れば見えないはずの光が、見えるかの如くのカメラのフラッシュ量で
浴びせられたバッシングも凄まじく、半年ほどは外に出られなくなってしまったそうな。
それでも、これまでコーチング等を通じて「人生諦めたらいけない」をメッセージとして発してきたのに、
ここで自分が諦めてしまっては姿勢を示すことが出来ぬと再起を決意し、くじらと衝突してしまったことの意義を見出す等の過程を経て今回(2019年4月21日)の偉業に至ったと。
実体験から放たれる言葉の重量感
驚くべきは、字面だけ追うと重たい内容ながらも、岩本光弘さんの口調がユーモアを交え、終始、快活で明るかったこと。
冒頭の岩本光弘さんの紹介で「とにかく岩本さんの話しを聞くと元気になるから、是非、皆さんに聞いて欲しいと思った」と
本講演の背景についてのお話しがあり、岩本光弘さんが直面した絶望は一般的な人たちの比ではないことは想像されますが、
本で語られている内容に、実際、目の当たりにした岩本光弘さんの存在感に
凄く前向きなパワー、エネルギーを感じました。
講演の要点は、MAC(マック)
M >> Meaning(ネガティヴなことでも意味を見出せば将来の成功の一歩になる)
A >> Action(行動することで身体も心理的にも良くなる)
C >> Chanege(考え方、意味付け、自分の枠組みを外すこと)
の3点に整理され、講演等で強いメッセージを発信される根底の思いには
「アメリカでは殆どないのだけれども、日本に帰ってくると人身事故で列車が止まる状況に心を痛められる」そうで、
「人身事故=(殆ど)自殺」という現実から、岩本光弘さんは乗り越えられた絶望を乗り越えられなかった人の存在を感じ、
「自分の経験なり、本に書かれている内容から、絶望を希望に変える力になれば、こんな嬉しいことはない」と、
言葉にお姿から並並ならぬ力が伝わってきた講演会でした。