評論家 副島隆彦さんと、作家 佐藤優さんの対談本『激変する世界を先読みする』を読了。
全261ページの厚みながら、対談形式であることから読んでいたのは1日半とハイペースに最終ページまで。
ただ、書いてあることはズシ〜ンと重たく、
第1章 世界エネルギー覇権と日本の安全保障
第2章 北朝鮮問題から解読する極東のパワーバランス
第3章 安倍政権と忍び寄るファシズム
第4章 平成から新時代へ天皇と近代日本の実像
第5章 これからの世界潮流を読み解く
という章立てのもと
” 佐藤 ゴーン事件は、国家統制を拡大する意味があると思います。副島さんがいま、言及したファシズム的な国家資本主義の流れです。
だからゴーンだけではなくて、孫正義(ソフトバンクグループ会長)に対しても、三木谷浩史(楽天会長)に対しても、ジェフ・ベゾス(アマゾン会長)に対しても、行われていくのではないでしょうか。その入り口がカルロス・ゴーンです。”(p23)
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” 今回の逮捕でEV(註:電気自動車)の普及は遅れます。これはゴーンのイニシアチブだから。
となると、これはアラブ諸国(産油国)にとってはプラスですよ。要するに内燃機関を終わらせようとゴーンはしていたわけです。
EVはアメリカの利益にも反するし、ロシアの利益(ここも産油国)に反するし、アラブの利益にも反する。”(p26)
という「(言われてみれば)そういうことなのかぁー」という深層に、
” 佐藤 政界再編に関して言うと、私は橋下徹に注目しています。彼は昨年(2018年)、『政権奪取論』(朝日新書)という本を出しましたが、これがきわめて面白い。”
・・中略・・
佐藤 面白いのは、先ほどの『政権奪取論』の出版元が、朝日新聞出版だという点です。
橋下氏は、『週刊朝日』(2012年10月16日号)の「ハシシタ 奴の本性」という、佐野眞一がつくった記事をめぐって、糾弾闘争を展開しました。
副島 あれは『週刊朝日』と『朝日新聞』がボロ負けに負けました。橋下に謝罪した。
佐藤 あのとき、彼は、ある意味では「1人回答同盟」をやったわけです。その『週刊朝日』を発行している朝日新聞出版から新刊を出すというのは、どういうことか。常識で考えて手打ちということですよね。
いま朝日新聞出版と手を握って、本体の朝日新聞社とも手打ちする。それで公明党を敵視するということは何なのか。やはり、狙いは政界再編でしょう。”(p123)
という先読みに・・
副島隆彦 x 佐藤優 だからこその・・
お二人の対談本は本作で5冊目とのこと。私自身は第4弾の ↙️
『世界政治 裏側の真実』を読んで以来。
今回も「本当??」と眉をひそめてしまう記述が点在し、それらがハッピーエンドを示唆しているわけではないので、
読後感はとかく重たく、自分が最近読んでいる保守系の論客の見解と異なる見立ても目立ち、
「う〜ん」分からなくなる感覚も抱きましたが、特的の見方に縛られないという役割に、
日ごろ自分なりの結論を導くに当たって、表層的である点にも気づかされ、いろいろと勉強させられ、気づかされもした一冊でありました。