狂言師 野村万作さんの著書『狂言を生きる』刊行記念トークイベント&サイン入り書籍お渡し会に参加。
断続的ではありますが、アートにフラグが立っていること、また、人間国宝を目の当たりに出来る稀有な機会であろうと、
狂言に関しては未体験(であるはず)ながら興味津々で参加。
未知なる世界への興味津々
早めに会場の銀座 蔦屋書店に到着し、列に並び、周囲の方々を見渡せば女性比率の高いこと〜
そんな状況に、ややアウェー感を抱いたりしつつ
映像で野村万作さんの舞台を見ながら迎えた定刻。
御歳八十八とのことでしたが、明瞭に聞き取れる声に、(剛に柔に)ユーモアが挟まり、
八十八の締め括りに中日新聞の連載を土台に一冊の本が出来上がるのではないかと考えられ、六月二十二日の誕生日に発売された本書刊行の経緯から始まり
野球に相撲に何をやっても上手かった運動なのに、お父様(野村万蔵 6世)に稽古に引っ張られてしまい、何でこんな特殊なことをやらなければいけないかと思った幼少期に、
演劇好きの友人に連れられて様々な演劇を見に行き、歌舞伎の華やかさにスペクタルに魅了され・・ やがて狂言を志されるまでに、
能(=感じるもので理解を超えている)・狂言は本来一緒にやるものながら楽屋での狂言の扱い(何でこんなに笑いが軽く見られてしまうのであろう)に苦々しさを感じられたことに、
狂言を分からせよう分からせようとすればするほど芸の質が落ちてしまうとの奥深い世界に、
狂言を志された時の狂言を再評価して欲しい、感謝しているとのお父様に偉くなって欲しいといった思い等々、
手付かずの分野であるだけに、お聞きする話しの一つ一つが未知への誘(いざな)い。
能は高校の時に千駄ヶ谷にある国立能楽堂に授業の一環で観劇した記憶があるので、
狂言=笑いの劇(人間を写している劇、和み、人間の反省 と様々な側面有り)という形容に好奇心刺激され、
「(観劇出来る下地に時期が重なり合ってくれば)先々の楽しみにしてみようかぁ」と ^^
講演の後に設けられた質疑応答で、開演前に寄せられた質問の中から
「気力、体調を保ち続けられる秘訣はどのようなことですか?」
と書いた自分の質問が野村万作さんの手によって引かれ、
「この質問いつも困るんだよなぁ」と(FAQをしてしまった模様 ーー;A)その心は「何もしていない」とのことで、
以前は縄跳び300回とか、マンション15階まで階段で上がるといったエクササイズをされていたものの
今は舞台に立つために動く、汗を掻くといった心がけであるそうな。
計70分程度に及んだお話しに、その後、サイン入り書籍お渡しの儀を経て、
初の人間国宝を目の当たりにしたひと時が終了。
狂言の道を志すまでは真っ直ぐな道程でなかったものの大学一年で狂言サークルを立ち上げられ、狂言の世界に没頭していかれた経過に、
お父様への溢れる感謝の念に、現在は舞台の数が減った分、後進の指導にあたられている点など、
短時間ながら芸の世界の伝説の一代記と云える内容は聴きごたえ十二分。人間国宝という近づき難さというよりは、人間味伝わるお人柄で、それらを至近で感じられた稀有な機会でした。