舛添要一前東京都知事の新著『ヒトラーの正体』刊行記念
舛添要一さん、哲学者 適菜収さん登壇の「ヒトラーはいつだって甦る――永田町のバカへの警告」と題されたトークイベントに参加。
今、なぜ、ヒトラーなのか
ご両人登壇後、まず、舛添要一さんが『ヒトラーの正体』を上梓された経緯について問われ、
40年前にドイツはミュンヘンで勉強されていた頃、滞在先の宿主からアルバムを見せられ、
「ヒトラーの頃が一番良かった」と言われたこと、ベートーベンなどを生み出す一方、近くには収容所跡もあることになどに疑問を感じられ、
フランスから見たヒトラーなど、いろいろと勉強されたそうな。そこで「なぜ今、ヒトラーなのか?」という点について
アメリカでドナルド・トランプ大統領が誕生するなど、ヒトラーが登場した時代に似てきたことによるもの。
この辺り、対象書籍についてよく書いてありそうで、簡潔にとどめますが、ヒトラーが台頭していった過程には
巧みなプロバガンダがあり、ヒトラーなり、ゲッペルスが、SNSを使える時代に生きていたら駆使したであろうと予測。
舛添要一さんによると、学者がヒトラーに迫った著書は数あれども、政治家経験者では舛添要一さんが初であるようで、演説の仕方など評価されていましたが、内容が楽しみです。
考える日本のこれまでと今
序盤の話しから、適菜収さんにマイクが渡り、私自身は本イベントでお名前を知ることになりましたが、
これまで政治家の勉強会などもっぱらクローズドな場に登壇されていたものの今回のような一般向け、書店イベントは初だそうで、その心は舌鋒鋭く批判を繰り広げられているとのこと。
今回向けられた矛先は安倍晋三首相に、憲法改正論議に、日本維新の会に・・
特に、憲法改正ついては賛成の立場であるものの、安倍晋三首相による改憲については絶対に阻止せねばならないと断言。
窮地のボリス・ジョンソン、忖度蔓延報道
トークは、一つのテーマについて、ご両人が順番に意見を述べられる形で進み、
興味深かったのは直接民主主義で失敗してしまったのが、英国のEU離脱いわゆるブレクジット。
舛添要一さんは、ボリス・ジョンソン首相と旧知の仲だそうで、本来、EUから離脱したくない立場であるものの
首相になりたいがために利用した側面があるとか。EU離脱が国民から湧き上がった背景には、
移民の多数を占めるポーランド人が英国人の2、3割安い賃金で働くため、EU域内の自由な行き来をストップしてしまいたい思惑などが働いてのこと。
後半に設けられた質疑応答では、物事を何でも多数決で決めようとすることへの懸念が示され、資する専門性や議論の必要性への言及に、
その他、NHKを筆頭とするメディアの忖度(不味さ)に、報道している内容(韓国の次期法相問題ばかりである一方、香港に対する報道が少ないこと etc)に、
社会、メディア、政治家・・ いろいろと世の中が良からぬ方向に進んでいっていることについて苦言なり、提言が示されていきました。
東京都知事辞任からの
舛添要一さん登壇イベントは、⬇︎昨年(2018年)6月以来でしたが、
適菜収さんに刺激される形であったり、この場に集った人たちへのサービス精神から
都知事辞任の知られざる一因に、山口県の選挙事情等々、際どいトピックも披露頂き、やはり「攻撃向きの人だなぁ」と。
最後、日本のジニ係数が0.5(0.0が平等、1.0が不平等)を超えている現状に、日本人が信じている中流社会が壊れている点を示され、政治の役割を指摘した場面など、
随所に説得力ある論が展開され、伝わってきた高い専門性を権力をチェックする役割などで発揮して欲しく感じさせられました。