池井戸潤さんが爽快に描き切った左遷人事で奮起したサラリーマンのラグビーチーム運営奮闘記:『ノーサイド・ゲーム』読了

池井戸潤さんが、ラグビーを素材に描いた小説『ノーサイド・ゲーム』を読了。

TVドラマ放映が終わったばかりで、今更感がありながら、本書を手に取ったのは

最後の一冊、となっていたサイン本販売。

立ち寄った書店で、最後の一冊となっていたサイン本を見つけていたことから。

存分に伝わるリアリティ

本の最後、

“この物語はフィクションであり、実在の会社、人物等のモデルはありません。 “(p404)

と注意書きされているものの

“「基本的にプラチナリーグの試合は、日本蹴球協会が主催する「興行」なんです。まず、リーグに参加するチームは、毎年千五百万円の参加費を支払わねばなりません。

プラチナリーグは十六チームありますから、この時点で二億四千万円が協会に入る計算になります。

協会ではこの資金を元手にして、競技場の使用料や運営に必要なスタッフ、宣伝広告、さらにチケット販売管理など、興行に必要なコストを全て請け負い、

さらにチームに対しては試合のための移動に必要な交通費や宿泊費も負担することになっているんです。

チケット代金は一旦、協会側に入り、それを実績に応じてチームに分配するルールです」”(p40)

或いは

“「プラチナリーグはアマチュアだが、バスケットはプロだ。Bリーグは試合数も多いし、チーム経費もラグビーリーグより少なくて済むだろう。

だが、そうしたことはさておき、収入の構造で一番違うのは、莫大な放映権料を含むスポンサー収入で、それだけでも、二十億円を超える。

物販だけでも十億円。一方の日本蹴球協会をみると放映権料は四億円、物販にいたっては一千万円程度しかない。雲泥の差がある。

その差を生みだしているのは、経営者の差だ。」”(p053)

といった具合、

丹念な取材に基づいたであろう十二分に伝わってくるリアリティから、本の出だしよりグッと引き込まれていきました。

購入本に書かれいたサイン

社内実力者の意向に反した買収案件のレポートを提出したことに端を発し、本社から工場に左遷され、

ゼネラルマネージャー職として、まったく未知のラグビーチーム運営に取り組んでいくことを軸に、

くすぶる企業買収を巡る謀略といったことも絡んできて、

購入当初はサイン本というだけで、400ページ超のボリュームを読み切ることに不安もありましたが、

次が気になる展開続きで、不安はほどなく杞憂に ^^

原作だからこそ感じられる著者の直なる・・

本が面白かったので「ドラマも・・」と思って、Youtubeにたまたまアップロードされていた第1話を視聴したところ

演出による煽り等、本のストーリーとは別物といった感覚はあって、

そちら(映像)から先に入って「(変に)見たつもりにならなくて良かったなぁ」なんて、文字だけで十分、力のある内容と思います ^^


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