芥川賞作家、ピース又吉直樹さんの新作『人間』を読了。
刊行記念イベント⬇︎に参加し入手していた著書。
初の長編小説ということで全366ページに及ぶ分量もあり、読了時の感想は、まず「長かったなぁ」というのが、実感。
大きくは話しが3つに分かれ、シェアハウスの住人中心に作品展をやることになり、そこで話題を集めた主人公の作品に盗作の嫌疑がかけられ・・
といったところからストーリーが動き出していきます。
又吉直樹さんの内面
以前、読んだ『劇場』の時は
すんなり入って行けましたが、『人間』は、
” もはや不良だったり、勉強ができない人達が芸人を目指す時代ではありません。
純粋にクリエイターとしての能力が高い人達が集まっているのがいまの芸人の世界です。”(p164)
に、
” 僕は影島さんのことを、芥川賞とかも取ったし、すごい人なんだろうなとは思っていたんです。でも、笑ったことはないです。
ボケようという姿勢を見ることはあっても声をだして笑ったことはないんです。
僕にとっての芸人の価値はどれだけ笑わせてくれるかです。笑いの総量だけが芸人の価値だと思っています。”(p168)
或いは、
“「うん、どこかでみんな芸人が小説を書いたことに驚きすぎてるな。
新鮮におもってくれるのは自分としては得やけど、仮にもコントを10年以上作り続けてきたわけで、
いままで何千人という架空の人物を自由に動かして、喋らせてきたんやから、どの職種の人より物語との距離は近いわけやん。」”(p264)
といった一文から、又吉直樹さんの自叙伝的要素が読み取れ、その辺りに容易に物語の先へ進ませてくれぬ深みがあったものと。
容易ならざる裏側の
読後、幾つか本書に関するレヴューを閲覧したところ太宰治の『人間失格』が引用されていましたが、
読後、どこか、もや〜っとしたすっきり出来なかった部分には、又吉直樹さんの重層的な部分があるように感じられます。