全日本プロレスで四天王の一角を担った川田利明さんの
『開業から3年以内に8割が潰れるラーメン屋を失敗を重ねながら10年も続けてきたプロレスラーが伝える「してはいけない」逆説ビジネス学』を読了。
刊行記念イベント⬆︎には行けなかったものの
開催後のサイン本販売を見つけ、購入していたもの。
ラーメン店 切り盛りのリアル
プロレスラーを実質引退状態として世田谷に構えたラーメン店『麺ジャラスK』が開店10年を迎え、
「はじめに」で、
” これまでも「本を出してみませんか?」という話はあったけれども、すべて断ってきた。理由は簡単だ。
店は丸10年近く続いているけれど、ぶっちゃけ、成功しているとは言いがたいからだ。
「成功していない経営者が書いた本なんて、いったい誰が読むんだ?」というのが正直な気持ちだった。
ところが今回のオファーは「失敗したこと、上手くいかないことを書いてもらいたいんです」という変わったもので、
「脱サラをしてラーメン屋を目指す人たちが読んで、反面教師的に参考になるビジネス本にしたい」という。”(p2)
と出版に至った経緯について書かれており、本書で意図されたことは
” この本にはふたつの目的がある。ひとつは、「やっぱりラーメン屋を始めるのはやめた」と思ってもらうこと。
もうひとつは、俺の失敗を反面教師として、ビジネスを成功させてほしい、ということ。”(p121-122)
とある通り、全205ページに及んで、美談は皆無で10年に及ぶラーメン店運営のリアル、格闘、苦悩の歴史がこれでもかというほどに・・。
『麺ジャラスK』に賭けた思い
象徴的なことは
” 「俺はベンツを3台、ラーメンのスープに溶かしました」”(p93)
に集約されていますが、『麺ジャラスK』の運営を継続させるために川田利明さんが所有されてきたベンツを手放されたこと。
現役時代、日本武道館や東京ドームの大観衆の前でスポットライトを浴びてきた日々に対して,
例えば来店客を例にすると
“「俺は一度、食べたことがあるからわかる。この店のラーメンはすごくまずいんだよ!まずくて有名な店だから、今日はネタとして、お前たちにも食べさせてやろうと思って連れてきてやったんだ!」”(p142-143)
という場面も1回や2回のことでないようで・・
とにかく読者に自分と同じ過ちを犯して欲しくないという思いが伝わってきます。
『麺ジャラスK』を続けるべく、十二分な苦労、葛藤が伝わる中、川田利明さんが望むことシンプルに
” もうね、たったひとこと「美味しかった」「ごちそうさま」と言っていただければ、それですべてが報われるんだ。”(p76)
ということ。
ラーメン店開業の反面教師本というより、川田利明さんの生きざまを感じさせてくれる一冊です ^^