Facebookのニュースフィードに流れてきて情報をキャッチする事が出来た『ゼロ・トゥ・ワン』著者のピーター・ティールの講演会に参加。
時代を牽引する思考スピードか・・
開演予定時間を10分ほど遅れて始まった講演ですが、約500名への来場者への御礼もそこそこ
凄いスピードで話される内容にキャッチアップしていく展開を追われ、以下、メモ出来た範囲でのシェアになります。
競争に巻き込まれる事なかれ
まず、起業家精神はNo.2 から始まる科学(第二のビル・ゲイツ、ザッカーバーグは出てこない)ではなく、
一瞬一瞬起こっていく事に対応し、人が反対するような真実に目を向け、まだ誰も始めていない魅力的な企業を創ること。
世の中、聡明な人より、勇気のある人の方が不足している。
起業家は、Googleが唯一無二のテクノロジーでMicrosoft、Yahoo!に差をつけ市場を独占しているような状態を目指すべき。
まずは小さな市場でスタートして、シェアを拡大させていくべきで、大きな市場を選択するのは誤り。
ビッグデータ、クラウドコンピューティングなど流行語を多用する人は、他のビジネスと差別化出来ていないため、気をつけた方が良い。
「我こそが」の思いを社会に抱く使命感
30分ほどの講演の後、コピーライターの糸井重里さんが質問の発し手となる第二部に入り・・
なぜ、本を出版して啓蒙活動をしようと思ったかとの問いに、多くの人に成功するビジネスを始めて貰いたいと考えているため。
インターネットの時代であるが、本はパワフルなメディアである。
話題が移ってピーター・ティールは生い立ちを振り返り、25歳の時に最高裁の法務事務官の面接に落ちてしまい、大きなトラウマを抱えたエピソードを披露。
競争に囚われ過ぎていたと述懐し、失敗はいい事であると考えず、余り多くのことを学べないとして解釈している。
そこから再起を図るモチベーションを得るには、考え方を変えざるを得ず、失敗のサイクルに囚われない事が重要。
今は余りに多くの人が厳しい競争にさらされているとして、ピーター・ティールが勤務した法律事務所では、
優秀な新人80人を迎え入れられ、数年後にパートナーに昇格出来るのは5〜6人程度という熾烈さ。
多くの人が激務からその場から離れないと願っていたものの、それを起こすには自己のアイデンティティを喪失してしまう事につながり出来なかった。
そもそも他人と差別化出来ない競争はしてはいけない。シェークスピアによると、競争は人々が同じものを欲しがるために起こってしまう。
また、利益主導型のビジネスは否定しないが、それが全てではない。お金を大事にしていない企業に投資は出来ないが、
成功している企業は、他社ではなく、自社でしか解決できないとの使命感を持って事業に取り組んでいる場合が多い。
社会とは曖昧な定義で、社会起業が必ずしも上手くいくとは限らない。上手くいっていない時期でも、前進している事が大事。
ピーター・ティールの日本評
最後に日本の印象を問われ、日本が模倣の文化である事にどう思うかとの質問をぶつけられ・・
ピーター・ティールはこれを真っ向から否定し、世界各国で最も影響を受けておらず、グローバリゼーションからかけ離れた国であるとの意見を回答。
繰り広げられた世界観の実像・・
終演を迎えるまで1時間30分程度。思考スピードの速さに圧倒され、上記の解釈が全体像の中で正しく捉えられたか自信なし。
『ゼロ・トゥ・ワン』を読んでいた際のキーワードとして抜き取った「賛成する人が殆どいない、大切な真実は何だろう?」に対する言及があり、その辺りまでは本の主旨を捉えられていたものの、
糸井重里さんの確認に対しても素直にYes, Noが回答される事なく、ピーター・ティールが描いている世界を見通す難しさは一様に漂っていたように思います。
暫くして「あぁ、そういえば」と、読書中の中盤から後半にかけてモヤモヤ〜っとした感覚を抱いた事を思い出しました。