書店に立ち寄った際、タイトルに「!」となった
株式会社日本創生投資 代表取締役社長 三戸政和さんの『営業はいらない』を読了。
本を開いたばかりの「はじめに」で、
” 私は10年後には営業という概念がなくなっていると確信している。大量生産、大量消費を煽ってきたビジネスモデルから、「本当に必要なモノやサービス」だけが生き残る時代に移行すると考えているからだ。”(位置 No.8)
と、著書の立場が明確にされ、本書での営業とは
“「見込み客を集め、情報提供しながら見込み客の購買意欲を高める。その中から購買可能性が高い見込み客を選別し、個別にアプローチ。
打ち合わせを重ねながら、ニーズをヒアリングし、提案の作成、価格交渉、そしてクロージングまでもっていく」プロセスを指す。”(No.48)
と定義。
このようなポジションがテクノロジーの進化によって、
” 営業マン受難の時代を証明するかのように、この20年の間、営業マンの数は2001年の968万人から、2018年にはついに864万人まで減少した。これはピーク時に比べて、約100万人の営業マンが消滅したことを意味している。”(No. 430)
という現実の背景などが記され、
三戸政和さんが2018年に上梓されている『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』での主張に準じて
” 今後は経営戦略レベルで営業を不要とする手法を採るテスラ社のような会社が増えることから、
「作戦」どころか「戦術」となる営業自体が不要となり、営業マンを必要としない時代に突入するであろうことは想像に難くない。
そこでそんな時代に備える道として、私がおすすめするのは次の道だ。
これはつまり「経営者」になるということだ。”(位置 No.1219)
に、
本書の肝となる「ブルー・オーシャン戦略」を派生させた三戸政和さんが提唱する「ブルー・ポンド戦略」の説明へと導かれていきます。
本書の前半で時代の捉えがデータなどによって示され、中、後半から蓋然性の高い近未来への解が示され、その具体性からういページを進めるほど惹き込まれていきました。
営業マンの呪縛
全体の中で印象的であったのは、昨年、報道を賑わせた郵便局による保険不適切問題に関して
“「かんぽ生命保険が2020年3月期の業績予想を上方修正する見通しとなった。前期比23%減の930億円を見込んでいた連結純利益は1,300億円を超え、増益となりそうだ」
これを読んだ多くの方が、「不正を行ったのに増益予想?」と不思議に思われたことだろう。”(No. 335)
このからくりは、
” 営業の自粛によって営業マンが動かなかった分、なんと大幅な経費削減を実現でき、業績の上方修正につながりそうだというのだ。
これは郵便局が、抱えすぎた営業マンの雇用を維持するために、無駄であっても営業活動を行わざるを得なかった自縄自縛の状態が、明らかに間違っていたということだろう。”(位置 No.344)
ということで、
本書が書き上げられたバックグランドが十二分に伝わる引用で、その後に続く内容をより現実的、興味深くさせられました。