お笑い芸人 ふかわりょうさんの書き下ろしエッセイ集『世の中と足並みがそろわない』を読了。
出遅れて刊行記念イベントへの参加は叶わなかったものの
ふかわりょう、”恩人”東野幸治から愛のイジリ!「虫唾が走る」
直後のサイン本機会を捉え、
手にしていた経緯。
ズレと共感と
本を開いたところの冒頭「はじめに」で
” 結論から申しますと、私の方です、歪んでいるのは。わかっているのです。”(p1)
とあり、
” 私が日頃抱いている些細な違和感やそれに類するものが、誰かのためになるとは到底思えませんが、ひょっとしたらこの世界のどこかに共鳴してくれる人がいるのではないか、誰かの溝にもはまるのではないかという淡い期待。”(p3)
と続き本編に突入していきますが、
序盤「うわっ、これついていけるかな・・」といった感覚のズレ具合も
” スマホの液晶画面が割れている人が多いこと。ついさっき割れたばかりではなさそうです。大きく亀裂が入った状態のまま使用していると見られるのですが、決まって女性なのです。”(p66)
という一文から(同意出来るそれまでの実感があったわけではないものの)俄然本書の世界観と自分自身が噛み合い出し、
タモリさんとの交流が記された
” 気づいたことがありました。タモリさんは、どこに行くのも変わらない。本番に臨むことも、お蕎麦屋さんに行くことも、コンビニに行くことも、どこに行くにも、力が入っていない。
さぁ、やるぞ!みたいなスイッチがなく、眼力というか、まるで浮力だけで動いているようにも見えました。”(p98)
「浮力の神様」に、ブライベートのポルトガル旅行記で
” 「ほんと助かったよ」付き添ってくれたことへの礼を言って去ろうとすると、猫がついてきます。餌も与えていないのに、人懐っこい猫です。
しかし、部屋に連れて行くわけにもいけません。「よし、今日は朝まで付き合ってやる!」”(p107)
遭遇した一匹の猫と交流が描かれた「沈黙の音」など、全22作収録されていますが、多くの作品で爪痕を刻まれました ^^
ズレが見事 言語化されての世界観
一昨年(2018年)読んだオードリー若林正恭さんのエッセイ集でも感じたことですが、
お笑いの世界で突き抜けられた方の目のつけどころ、自身の内面や特異性を言語化する力を感じさせられた著書で、
続編が出るようなことがあれば「楽しみだな」「絶対買っちゃうだろうな」と思わされた
ズレと共感の入り混じった読後感が心地良かったです ^^