日本産イチゴのオーストラリア輸出実現!一番乗りは岐阜県
” 昨年8月に日本とオーストラリアが検疫条件に合意し日本産イチゴのオーストラリア向け輸出が可能になったことを受けて、岐阜県がいち早く動き出した。
同県のイチゴ生産者、本丸いちご本圃とJA全農岐阜は県の支援を得て、オーストラリアが定める輸出の諸条件を解決し、今月25日にオーストラリアに向けて初出荷を行った。
今回の出荷が、日本で最初のイチゴのオーストラリア向け輸出となる。【ウェルス編集部】
岐阜県は意外にもイチゴの大規模生産県という訳ではない。平成30年農林水産省作物統計調査によると、収穫量は2,470トンで、イチゴを生産する日本の24道県のうちでも下位(16位)に位置し、全国1位の収穫量を誇る栃木県(2万4,900トン)の10分の1にとどまる。
しかし、日本産イチゴのオーストラリアへの輸出解禁直後から着実な取り組みを進め、今年度中にオーストラリアの検疫条件をクリアし、輸出にこぎ着けたのは岐阜県だけとみられる。
岐阜県農産物流通課の長谷川裕紀技術課長補佐兼係長はウェルス編集部の取材に対し、「オーストラリアとは、以前から強いパートナーシップがあった」と語る。
これまでにオーストラリアを主要ターゲット国と設定していた岐阜県は、2019年9月に古田肇知事率いる代表団がシドニーなどを訪れ、プロモーションを実施。
知事は連邦政府のマッケンジー農業相(当時)とも会談した。この関係性がオーストラリアで「岐阜県サポーター」を生み、イチゴの受け入れ先確保につながったという。
■輸出管理はJA全農インター
岐阜県と生産者は、昨年9月にイチゴ輸出の解禁が発表されると、すぐに検疫条件のクリアを目指した。
早くも10月初旬に生産施設の登録申請を実施、その後も病原菌の検査や施設の登録申請を行った。
年明けから害虫類のトラップ調査を始め、翌月には名古屋植物防疫所による輸出検査を受けて今回の初出荷に至った。
県農産物流通課輸出戦略係は、「他の県に前例もなく、初めてのことばかりで手探り状態だった」と振り返った。
イチゴは温度の変化に敏感で、輸送時の温度制御が重要なポイントとなる。サプライチェーン(供給・調達網)を通じた品質管理や通関手続きは、JA全農インターナショナルが担った。
■ターゲットは「価値が分かる客層」
オーストラリアの2020年のイチゴ生産量は8万2,310トンで前年比7.5%増。輸入量はわずか4トンと、市場供給量のほぼすべてが国産品という市場だ。
一方で昨年のオーストラリアの輸出量は4,678トンと、5年で145%成長した。
輸出額は3,300万豪ドル(約28億円)と、日本の輸出額21億1,000万円(令和元年)を上回る。
ただし、日本の輸出量は962トンと極端な差があり、日豪の輸出イチゴの価格差は、およそ3.7倍になる計算だ。
長谷川技術課長補佐は今回の輸出に当たり、「ターゲットは『素材の価値が分かる顧客層』」と語る。価格差を付加価値で埋めるという戦略だ。
今回輸出される日本イチゴの受け入れ先は、ビクトリア州メルボルンのシェフ、マーク・ノーモイル(Mark Normoyle)氏だ。
氏は2017年のオーストラリアン・エグゼクティブ・シェフのコンテストで準優勝の実績を持つセレブ・シェフだ。
同氏は2年前に岐阜県に来訪、その農産物の質の高さを知っていたことから、今回の解禁に伴いすぐに輸入を決めたという。
今回の輸入が呼び水となり、今後、オーストラリアで日本産イチゴのブランド化が進むことが期待される。”(出典:NNA ASIA)
確かに岐阜県にイチゴ産地のイメージなかったですが、果敢な取り組みが奏功し、また突破口の役割も期待したくなります。
因みに、記事に登場する
Mr. Mark Normoyle、自身のウェブサイト⬆︎で情報発信されています。
上記はFacebookページ「オーストラリア ライフスタイル&ビジネス研究所」の2021年3月2日分の掲載記事です。
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