高田文夫先生が
” 極上の一冊ができたと思う。私の大好きな「笑芸」の人達が次から次。お笑い道楽にとってはたまらない一冊である。”( p003)
「まえがき」にしたためた自信作『画文集 芸人とコメディアンと』を読了。
本書は、イラストレーターの峰岸達さんが
” 芸人、コメディアンばかりをカラーでバッチリ描き、まとまった一冊の本が作れないかと思いたったのです。
・・中略・・
先ずはぼくが掲載希望候補を数十名挙げ、そこから高田さんが選び加え三一人に決まりました。”(p136/p137)
との経緯から選出されたのは
森繁久彌、林家三平、立川談志、ビートたけし、サンドウィッチマンと昭和の大御所から現役まで錚々たる顔ぶれ(敬称略)。
印象的であった箇所の一例を抜粋すると・・
” 一九七二(昭和四七)年大学を出た私は当時超売れっこ放送作家で日劇の演出家でもあり、ドリフのチーフ作家だった塚田茂の弟子のようなものに。
松岡孝、鈴木哲、私の若い三人はすぐに「全員集合」に見習いとして預けられた。
すでに伝説ともなり様々な本でも描かれているが週三日は地獄のような会議と稽古。
昼の三時頃、TBSに全員集合し大きな会議室で息を殺して夜中の二時までいかりやのOKを待つのだ。いかりやは死ぬほど怖かった。
・・中略・・
いかりや氏の最晩年、ある場所でバッタリ。刑事役で俳優として渋く認められている頃だ。
いかりや氏の方から手を差しのべてくれて、シッカリ私の手を握り「あの頃は若かったから色々すまなかったねぇ。いやな思いもさせちゃって・・・。
我々の「笑い」もたけしクンや高田クンの「笑い」もどちらも正しかったと思うんだ。オレ不器用だからさ・・・」
私はなんだか胸に飛び込んで思い切り泣きそうだった。”(p079-080)
といういかりや長介さんとのほろ苦さを経て心温まるエピソードに、
” たしかたけしが事故った年、ダウンタウンに長時間MCをお願いした事があり事前の打ち合わせと本番。
予想に反して浜田がひたすらニコニコ、腰低く、礼儀正しいので私もびっくり。社交的なのだ。
たけしと同じにおいのする松本はやはりオドオドして、上目使いでうなずくだけ。
予想通りだったが本番になると一転して大爆発。私の予想の百倍も面白い事を発した。ハードパンチャーの凄味。
・・中略・・
あの時代のたけしの様に、いま松本の脳味噌のお陰で、まだ来年もさ来年もTVは面白い箱でいられる気がする。”(p120)
という意外や意外!?高田文夫先生とダウンタウンの接点に、
これまでの高田文夫先生の著書でも紹介された内容に、新しきに、お一人4ページ(1ページは絵)さらっと読める構成で進行。
伝説の芸人たちと高田文夫先生との交差
本書の随所に、
” どうしても三平を見たかった私は小学生なのに寄席通の友人に相談。
するといともあっさり「明日連れてってやるよ。新宿へ出て伊勢丹の先。末広亭にいま三平出てるから」
私はこわごわ付いて行きテケツで入場料を払い、そうっと扉をあけると、もうそこに、高座の上にスタンドマイクの三平の姿。
「あっ、坊ちゃんいらっしゃい!!今から月光仮面の話をしますから。ハイそこへ座って」この私が真っ赤になってポーッとなった。”(p044)
等、高田文夫先生の個人史も絡んだ展開あり、お笑いの世界の伝説の面々の素顔に、本領を発揮したエピソードに、
お笑いに尋常ならざる造詣の深さを誇る高田文夫先生が誘(いざな)う芸人伝、読み物に視覚(絵)とも楽しめた画文集でした〜