中原圭介さんが明かす、やがて語学を学ぶ必要がなくなるワケ:『2025年の世界予測』

先日、読了した高城剛さんの『2035年の世界』にインスパイアされ、

>> 高城剛さんが描く100の未来に考えさせられた:『2035年の世界』読了 <<

近未来に対する渇望の念に駆られ、図書館で同種と思わしき本を物色・・

その過程で『2025年の世界予測』というタイトルに惹かれ、

とりあえず、「終章 2025年に生き残れる人材の条件」だけを、下記の通り、つまみ喰い。

なお、著者の中原圭介さんは、

経営・金融のコンサルティング会社の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。

という肩書き(著者プロフィールから抜粋)で、本の帯には

「予測的中の人気エコノミストが解き明かす10年後の世界」

とのコピーが掲載。

 誤解されているグローバルの本質

” いま日本企業の人事採用の傾向を見ていると、まず「グローバルスタンダード」という基準があって、それに無理やり合わせようとしているようです。

海外展開する日本企業では、グローバル人材の採用・育成に躍起になっており、「英語ができる」「海外を経験している」という要素を重要視しています。

とくに目立つのが、「グローバル化=英語」と思い込んでいる企業が多いことです。 ・・中略・・

英語を話すことがグローバル人材であるとすれば、英語圏で暮らす人々はみんなグローバル人材ということになりますし、

みんなが有能なグローバル人材であれば失業なんかしないはずです。

ところが、現実にはアメリカにしてもイギリスにしても、失業率は日本よりずっと高いのです。

理想的なグローバル人材といえば、ハーバード大学などのMBAを取って外資系企業に入り、

手ぶり身ぶりで英語のプレゼンテーションをするといったイメージを持っている方もいるのではないでしょうか。

しかし、それはまったくの間違いです。ビジネスの基本は、そこで商売する国の言語を使うことです。 ・・中略・・

英語力があることに越したことはありませんが、必ずしも必要なわけではないのです。

それよりも、広い視野を持ってビジネスのプランを立てられること、物事の考え方がしっかりできていること、

大局的な判断ができることのほうが重要です。つまり、洞察力を鍛えていくことが求められます。” (p234-236)

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語学の勉強が不要となる近未来(予測)

” 周知のように、コンピュータが目覚ましい勢いで進化しています。 ・・中略・・

そのコンピュータの能力が今後遺憾なく発揮されそうなのが、自動翻訳機です。

例えば、東芝では英語、中国語、韓国語、日本語の間で同時翻訳するシステムを開発しています。

そのシステムにおける翻訳の精度は約8割といわれていますが、あと10年もすれば、

さらに高い精度を持つ翻訳機が登場し、会話のほとんどを自動翻訳できるようになっているでしょう。

また、米マイクロソフトでは、人間が話す内容を瞬時にコンピュータで処理し、ほかの言語に翻訳したうえで、

その人の声で流す技術を開発しています。これを使えば、誰でも何カ国語でも話せるようになるわけです。

こんな技術が普及すれば、もう語学の勉強に苦労することはありません。 ・・中略・・

文章を読む力は必要ですが、会話能力を身につけるために時間を費やす必要がなくなるのです。

お金をかけて英会話スクールや語学留学をする人がいますが、2025年頃には、

英語のために時間やお金をかける必要がなくなってきます。

じつは英語を習得しても、もともとネイティブでなければ、深い話や細かなニュアンスを伝えることは難しいのです。

そのため、中途半端な英語の勉強をするよりも、その時間をいろいろな国の文化や価値観、

とくに歴史と宗教の勉強に充てたほうがよほど有意義であると思います。” (p236-238)

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 グローバル化が意味する本当のところ

” そもそも「グローバルスタンダード」などという統一的な基準は、じつは存在しません。

グローバル化の本質は、徹底した現地化です。 ・・中略・・

例えば、イスラム教徒の人々の考え方は、私たちには異質すぎてわからなかったとします。

でも、それでいいのです。彼らは長年イスラムの教えに従って生きてきたのだと、

ありのままに受け入れることがグローバル化です。

自分たちとは違う文化や価値観、ライフスタイル、それらをすべて受け入れることによって、

自分自身のグローバル化は始まります。そのうえで、広い視野を持って、大局的な判断をしていくことが大切です。

それを認めて、さらに大きな視野を持ってビジネスに当たっていくことがグローバル社会の真髄なのです。”

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 読書のススメ

” ほんの5年ぐらい前には考えられなかったことですが、日本企業の採用に占める外国人割合がいま非常に高まっています。

その一方で、日本人の採用は減る傾向にあります。 ・・中略・・

こういた傾向が続くと、優秀な学生を集められない国内の大学は存在理由を失い、廃校になるところも増えていきます。

その分、よく勉強している海外の学生が増えていくということになりそうです。

結局、勉強しない、本を読まない学生はダメなのです。

いつも感心するのですが、アメリカの一流大学の学生の読書量は本当にすごいものです。

平均して年間500冊ほどの本を読むといいます。 ・・中略・・

アメリカのエリートのすごいところは、膨大な情報量、知識量をインプットして蓄えていることです。

それは彼らの読書量が半端ではないところからきています。

知識量がなければ、応用もできません。日本のゆとり教育は、インプット量、知識量を極端に減らしてしまいました。 ・・中略・・

考える力や大局的な視点は、いわばその人のアウトプットできる能力です。

そして、そのアウトプットできる力は、インプットした量におおむね比例します。” (p241-243)

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本の読み方

” 国内で海外のことを疑似体験できるのが、読書です。宗教でも歴史でも、人々の生活様式でも、読書で現地体験をする。

そして想像力を膨らませる。これが本当に役立つのです。海外で漫然と研修を行っても、そういった読書している人にはおそらく勝てません。

グローバルなビジネスでは、国や民族が違っているので、相互の理解がなくては成り立ちません。

真のグローバル人材を目指すなら、相手国の歴史、宗教、文化、習慣をはっきりしたうえで、

「日本とはこういう国なのだ」と説明できるだけの知識を持つべきです。 ・・中略・・

ところが、いま多くの日本人は、他国の歴史はおろか、自分の国の歴史すらよく知らないのです。

若い世代を中心にして、いまの日本人には、歴史に限らず、さまざまな知識が不足しています。

つまり、絶対的な読書量が足りないのです。読書量が知力も考え方も決定づけますので、

知識不足から世界を俯瞰して見る力が欠けてしまうのは致し方ありません。

とくに日本人は歴史を知らないために、その俯瞰する力が欧米人に比べて圧倒的に弱いような気がします。

読書で学ぶといっても、高度に専門的な知識は必要ありません。

さまざまな学問や知識を「広く浅く」身につけることが求められます。  ・・中略・・

ビジネスの世界では、ほかの分野の考えを取り入れて、新しい発想や商品をヒットさせるのが、典型的な成功例になっているのです。” (p244-246)

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すぐ近く、手が伸びる先の未来

「2035年の世界」ではテクノロジーの発達から自分探しが無くなるといった指摘が印象的でしたが、

本書では、語学を学ぶ必要性が薄れるとの指摘。言われてみると、自分探しの前に言語の問題が解消されていそうですよねぇ。

何冊か近未来本を読むと、著者は異なれども共通した指摘も見出せそうで、

それは蓋然性の高い未来と言えるのだと思いますが、「(訪れるであろう未来は)そういう世界かぁ」なんて

あれこれ考えるうち、自分のやるべき事、やった方がいいであろう事が、はっきりしてくるのなら、これまた読書の効用ですね。

 


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