一時(2021年5〜6月)、筒井康隆先生の作品を集中的に購入した
きっかけになった作品で、本書は
ペニスに命中
不在
教授の戦利品
アニメ的リアリズム
小説に関する夢十一夜
三字熟語の奇
世界はゴ冗談
奔馬菌
メタパラの七・五人
附ウクライナ幻想
の十編を収録。
三字熟語の羅列のみで展開される「三字熟語の奇」はじめ
カオス(混沌)との印象強く、作品によって理解度はまちまちですが、個人的なハマりどころは
” あんたがたの話しておったのは原子力発電所の、あの建屋のことであろうな。電力会社も政府も困っておるようじゃが、そういう時こそわしにまかせい。
核燃料棒などというものはわしが行って素手で引っこ抜いてな、まとめてダンボール箱に詰めて漁船で北朝鮮へ持って行き、一本につき百万円払ってやるから引き取れと言えば大喜びで引き取るじゃろわい。
金か。金なら東京都が尖閣諸島を買うために集めた何億円かがある筈じゃ。”(p208)
とブラックなノリが加速していく「奔馬菌」に、
” そもそも作者の中には、現実に生きている人たちが日常的に演技をしているように思えてならない気持ちがあった。子供の頃からだ。
日常に頻出する喜怒哀楽の場面において、人がみな定型化した喜怒哀楽を表現しているように見えてならなかった。”(p245)
と中途から個人史に切り替わる?「メタパラの七・五人」に、
単行本刊行2015年4月(収録作品初出 2010年〜2015年)ですが、今も引力強く変幻自在な筒井康隆ワールドに読後尋常ならざる爪痕を残されました〜