古舘伊知郎さんの『MC論 昭和レジェンドから令和新世代まで「仕切り屋」の本懐』を読了。
サイン本販売機会に
即反応し、入手していた経緯。
本書は
” 昭和の名司会者の活躍を生で見てきた僕だからこそ、「後世に伝えておきたいMCの歴史」を、死ぬ前にまとめておきたいと思います。”(p9)
との主旨のもと、取り上げられているのは
第1章 スタンダードをぶち壊せ!昭和のレジェンドMC
大橋巨泉、タモリ、明石家さんま、笑福亭鶴瓶、黒柳徹子
第2章 芸人・タレントMCがバラエティをかき回す!平成・令和の仕切り術
とんねるず、ダウンタウン、今田耕司、爆笑問題、中居正広、加藤浩次、上田晋也、田村淳、有吉弘行、山里亮太、村上信五
第3章 キャスターの枠を超えた、ニュースプレゼンターの生き様
みのもんた、関口宏、小倉智昭、安住紳一郎、羽鳥慎一、石井亮次、逸見政孝
といったTVでお馴染みにして豪華な顔ぶれ(敬称略)。
司会者、MCのズバリ!ここが凄い集
以下、印象に残った箇所を抜粋すると・・
“「競馬もあるよ、麻雀もやってみたら」自分の好みをどんどん視聴者に押し付けてくる。批判があっても「俺が楽しいからいいんだよ」と意に介さない。
それまでの司会者像をぶち壊す、いわば「私は人生のMC」「僕は娯楽の伝道師」の登場でした。”(p18/大橋巨泉)
に、
” 中居君は、司会の滑らかさ、卒のなさ、上手さばかりがクローズアップされるけど、実はすごいカウンターパンチを持っているんですよ。
決して相手を傷つけない形で、でも、おたつかせる。これが本当に上手いんですよね。”(p121/中居正広)
或いは、
“「このニュースって、何なの?」とか、「この政治の事件って?」とか、そういうもろもろの事象に対する声を、ドンピシャで同時通訳してくれる感じが心地いい。
加藤君は半歩先回りする予知能力を持っている。だから、あんなふうに言語化できるんですよ。”(p134/加藤浩次)
と、日ごろ視聴者たちを違和感なくTV番組の進行に身を委ねさせられながらも印象に残るMCの方々の(常人では出来えぬ)凄みを
喋りのプロである古舘伊知郎さんが言葉巧みに紐解かれ、
” 『グッとラック!』で「じゃあ、淳さん、どうですか?」って聞かれたら、まず2秒ぐらい笑うことがある。
しかも、笑っている時、黙っているんですよ。笑いながらしゃベることもできるのに。
松本人志さんの場合は、その間、腕を組む。
「うーん、何でやろうな」
って、この時点で、
「言いたいことはあるけど、上手いこと言えないんだよ」
って匂わす。やり方は違いますが、2人とも間の取り方位が秀逸ですよね。”(p153/田村淳)
など具体例からの解説には「そういうことかぁ」とコミュニケーション術もふんだんで、汎用性も備えた著書であるように感じました。