週中に、中間記↓
をアップロードしていた『「最高の音」を探して ロン・カーターのジャズと人生』を読了。
本書は、
” ロンが歴史上でもっとも数多くのレコーディングを行なったジャズ・ベーシストであることは間違いないが、それどころか楽器に関わらず、最多のセッション経験を持つサイドマンである可能性もあるのだ。”(p263)
という圧巻のキャリアを誇るRon Carter:ロン・カーターに音楽業界で多数の著作を残してきたDan Ouellette :ダン・ウーレットが肉迫し完成した著書。
日本独自でも濃密に築かれたキャリア
ロン・カーターといえば、先月(2021年11月)
外国人叙勲の旭日小綬章を受勲されたことが一般紙等でも報じられましたが、
” ロンには日本で録音されアメリカに渡ることのなかったアルバムが何十枚とある。”(p263)
と日本との間で築かれてきた関係性に、やはり分岐点となった
” ああ、確かに自分はマイルスの偉大なるバンドのベース奏者として知られているよ。
でも私には自分のサウンド、自分のコンセプト、自分のバンドがある。”(p451)
と帝王 Miles Davis:マイルス・デイヴィスとの活動期間を経て、自身の考えも実践する形で飛躍していったキャリアに、
実に570ページに迫るボリュームで本人、バンドメンバーを含む周囲の人たちに、さまざま史実を丹念に調べられた上で練り上げられたジャズ界で時代を築いた一大ミュージシャン伝となっています。
閾値を凌駕した凄み
さすがに300ページ台に突入して以降、息切れした感は否めずも、各所で散見されたジャズの真髄に、
” リズム・セクションの番人(keeper)であることが私の喜びだった。”(p560)
という(ベーシストとして)偉業を導いた原点に、
“「カーターの、聴けばすぐに彼だとわかるトーン、そしてベース・ラインに含まれる音の選び方とフレージングの「これしかない」という必然性たるや、過去に類を見ないほどだ。”(p504)
との業界からの評価に、
それまでライヴ観覧歴はあれども名前程度の知識の域を出なかったミュージシャンの凄みを大いに知らしめられた読書機会となりました〜