週初め、中間記↓
をアップロードしていたライター鈴木忠平さんの『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』を読了。
著者の日刊スポーツでの中日ドラゴンズ番記者時代(2004〜2011年)の落合博満監督をはじめとした密着模様が描かれており
読み進むほど、
” 最も打撃理論を交わした和田一浩を優勝争いの正念場で二軍に落とした。レギュラーを奪ってみろと自らノックバットを振るった森野将彦を、優勝目前に先発メンバーから外した。
かつて完全試合まであと一イニングのマウンドへ送り出したストッパー岩瀬仁紀を、今度は逆に九回のマウンドから降ろし、代わりに浅尾拓也を送った。”(p466)
の一文に象徴される情を排し、プロフェッショナル/勝負に徹した姿勢に怖さすら抱くも、
退任が明らかとなった頃から主力の荒木雅博選手が、優勝争いの最中、落合博満監督下で禁じられていたヘッドスライディングでホームを滑り込んだシーンに
” 「あれは選手生命を失いかねないプレーだ。俺が監督になってからずっと禁じてきたことだ。でもな、あいつはそれを知っていながら、自分で判断して自分の責任でやったんだ。あれを見て、ああ、俺はもうあいつらに何かを言う必要はないんだって、そう思ったんだ。”(p448)
とチームが覚醒し、
” 中日は、落合が去ると決まった九月二十二日から勝ち続けていた。優勝を決定づけたこの夜まで十五勝三敗二分 ー ドラフトという共通の入口によって戦力が振り分けられるようになった現代プロ野球では、ほとんど目にすることのない数字だった。”(p444)
とリーグ優勝のテープを切るあたりは、シフトが感動に切り替わり、爽快な読後感を得る形に。
落合博満から学ばされしこと
” 落合はどの序列にも属することなく、個であり続けた。
落合というフィルターを通して見ると、世界は劇的にその色を変えていった。この世にはあらかじめ決められた正義も悪もなかった。
列に並んだ先には何もなく、自らの喪失を賭けた戦いは一人一人の眼前にあった。孤独になること、そのために戦い続けること、それが生きることであるように思えた。”(p462)
に鈴木忠平さんの落合博満像が示されていますが、
本人の言葉が限られ、謎が多いと感じられてきた落合博満監督時代の要点の悉くに光が当てられた思いで、プロ野球ファン必読の一冊であると出版後の評判も納得させられた著書でありました。