メディアアーティスト(をはじめ様々な顔を持つ)落合陽一さんの『忘れる読書』を2022年晦日に読了。
昨年暮れに開催された
刊行記念サイン会で入手していたもの。
本書は
第1章 持続可能な教養 ー 新しい時代の読書法
第2章 忘れるために、本を読む
第3章 本で思考のフレームを磨け
第4章 「較べ読み」で捉えるテクノロジーと世界
第5章 「日本」と我々を更新する読書
第6章 感性を磨く読書
第7章 読書で自分の「熱」を探せ
の章立てで構成。
読書360° by 落合陽一
内容は
” 私の読書スタイルは普通とは少し異なります。詳しくは後述しますが、読んだ内容を覚えていようと思ったことはなく、むしろ忘れるために本を読んでいます。
積読・乱読は当たり前ですし、本を読み通さずにざっと読む「ザッピング読み」や、何回もパラパラと読んで内容を把握する「周回読み」もしばしばです。”(p5)
や
” 知識はただ持っていてもダメで、好奇心や興味といった「イタズラ心」を加えると、創造する力につながります。
イタズラ心は、ロジックをジャンプさせるためには必要な要素です。ですから、私の読書はジャンルにこだわらず興味の赴くまま、何でも読むスタイルを取っています。”(p49)
といった実践法に、
“「持続可能な教養」とは、まずは物事を「抽象化する思考」を鍛えること、そして次に「気づく」能力を磨くことではないかと私は考えています。”(p17)
と効用、考え方など読書に関してさまざま言及されています。
読書で築かれた礎
落合陽一さんの著作はこれまで何冊か触れてきてテクノロジー、近未来に関しての考察に読みどころを感じていて、本書でも
” マリオにしろ、ハローキティにしろ、ドラえもんにしろ、すべてのものが私に言わせれば、「オトナ帝国」のコンテンツ。特にドラえもんは、「テクノロジーがすべてを解決してくれる」という昭和的な夢の世界です。”(p154)
に、
” 我々は、何か一つの価値観をインストールして一発で解決しようとするのではなく、価値と価値の間を動き回って(身体を使った運動としても、思考としても)、それをやり続けるという生き方をしていけばいいのではないでしょうか。”(p177)
など「らしさ」感じられる部分ありながら、今まで著書での言及に記憶なかった
” 幼い頃から、「面白い本に出会う機会」には恵まれていました。なぜなら、父である落合信彦の交友関係が非常に広く、自宅にいろんな大人が出入りしていたからです。”(p69)
お父さま落合信彦さんからの直接的に間接的な影響に、ご専門の礎が読書によって築かれたことがよく伝わる著書で、
” 日本人独特の「空気」について考えを深めるなら、『失敗の本質』(戸部良一ほか著)、『ミカドの肖像』(猪瀬直樹著)、『日本的霊性』(鈴木大拙著)の「3点セット」をお薦めします。”(p140)
等、インスパイアされた著書も列挙されており、落合陽一さんのエッセンスに触れることの出来る一冊であるとも。