音楽クリエーター金子隆博さんの『日向の道をまっすぐ行こう』を読了。
金子隆博さんが米米CLUBのメンバーであることにサイン本入手機会を捉え、
入手していた著書。
ふと訪れたその後を塗り替える転機
” 痛み。
人生は素晴らしい、人生は面白い、と書き始めたいところですが、ここまでの人生を思い返せば「痛い目」にあって初めて思い知ることばかりだったように思います。
軽いノリでやり始めたけれど実力が伴わず失敗したり、相手の気持ちがわからず、失礼なことをしてしまったり。迷っていて判断が遅くなって迷惑をかけてしまったことも、取り返しがつかないことをやってしまって途方にくれることも・・・。”(p7)
の一文に始まる本書は、
” 僕がサックスを始めたのは高校生の時です。そして、局所性ジストニアという病気で、吹けなくなったのが四十二歳の時。
僕の人生の時間の真ん中あたりがすべて、サックスとともにある生活でした。
でも、ギターやトランペットと同じように、サックスとも、偶然の出会いでした。
サックスのある生活を僕に運んできてくれたのは、日大習志野高校の杉山丈助先生。国立音楽大学のサックス科を卒業したばかりの先生でした。その杉山先生が担任するクラスに僕がたまたま居合わせることになりました。
中学時代からずっとベースを続けていた僕に、ある日、杉山先生から声がかかりました。
「バンドをやっているなら音感がいいんだろう。サックスを教えてやるから、やってみないか? ブラスバンドで、今サックスパートがちょっと足りないんだよ」”(p34)
と突如訪れた人生の相棒との出発点に、
” 今はなき「ウィズ」という店です。そこによく飲みに来ていたのが、米米CLUBの前身バンドのボーカリストでした。
「ちょっと面白いバンドがいてね。今度『目黒鹿鳴館』で3デイズのライブを企画しているんだ。三日目にゲストで出てくれるホーンセクションを探しているんだけれど、金子、アレンジできるでしょ?」
クリちゃんのこの一言が、今から思えば、運のツキでした。
運の「尽き」ではありません。もちろん「ついている」ほうのツキです。”(p62)
人生の方向性を決定づけた出逢いに、或いは
” サックスという楽器とは、一生かかって向き合っていく相棒だと思っていました。
・・中略・・
二〇〇六年夏、僕は渋谷にあったヤマハのマウスピースの試奏室にいました。
背中に冷気を感じたことを、今でも身体がよく覚えています。
「空調のせいかなあ」
マウスピースをくわえ、吹き始めようとした瞬間、僕の頭の中にハテナマークが飛び交いました。
吹こうとすると、首が上のほうに蛇行してしまって吹けないのです。いや吹く以前に、吹く姿勢がとれないのです。
それは突然、なんの前触れもなく、僕を襲いました。”(p93)
という内容を含む金子隆博さんの半生記。米米CLUBのライヴ歴は僅か1回に限られながらも
多感な時期の思い出の幾つもが米米CLUBの楽曲と結びついている自分としては、興味深く読み込めた半生記でありました〜
なお、NHK連続ドラマ小説『カムカムエヴリバディ』も本書の軸となっていますが未視聴でゆえ、同ドラマに魅了された方は更に読みどころある構成と思います ^^