スポーツ分野などで数多くのノンフィクション作を出版されている元永知宏さんの『トーキングブルースをつくった男』を読了。
(2023年)7月末に開催された ↓
古舘伊知郎さん登壇イベント時に紹介され、(古舘伊知郎さんから)サイン頂けるとのことで購入していた著書。
「トーキングブルース」が古舘伊知郎さんの長年継続されているトークライブの呼称と(実体験はないながらも)承知しており、てっきり古舘伊知郎さんに焦点あてられた内容と思いきや
” 古舘プロジェクトの所属タレントは古舘だけ。当然、彼をどう使って事業を進めるかという話になった。
「会長は年上の方だったので、『古舘に派手な恰好をさせて、ガンガン喋らせたらどうだ?』とか言うのを、こちらはうなずきながら聞いていた」
その会長が漏らした「古舘っていう男は喋るロックンローラーだな」という言葉を聞いて、佐藤は閃いた。
トーキングロッカー・・・いや、トーキングバラードじゃ締まらない。そうだ、トーキングブルースだ!
・・中略・・
ホテルのスイートルームに古舘や放送作家を集めて、「トーキングブルースをやろう!」と宣言した。文化的なことを古舘の支えにしなければならない。赤字覚悟で『トーキングブルース』というトークライブをやるべきだという佐藤の思いを伝えたのだ。”(p39-40)
という古舘伊知郎さんが局アナ(ウンサー)から独立される際の受け皿として設立された古舘プロジェクトで社長(現 会長)に就かれた佐藤孝さんの半生や(古舘伊知郎さんへの)視点等が軸になり構成。
” 生きるということのなかに、悲劇も喜劇も、もちろん幸せも、つらいこともあったよね。幼いころから見てきた情景、悔しかったこと、情けなかったこと、いろいろな経験や感情がトーキングブルースの源なのかなと思う」”(p53)
というタイトルに込められた思いに、
“「お姉さんが病気になってから、古舘さんはずっとそればっかりだったからね。一回どこかで整理というか、鎮魂しないといけないと思ったよ。お姉さんのためにも、古舘さんのためにも」
ただ、それをエンターテインメントとして成立させるのは難しい。 ・・中略・・
肉親の死は、トークライブのテーマとして重すぎたね。
ただ、いま考えると、あの時にトーキングブルースでやるべきことがこれだというのが見つかった。やる前はみんなが反対したけど、終わった時には『やってよかったな』となったから。笑いと哀しみのバランスについては真剣に考えたし、トーキングブルースが変わるきっかけになったんじゃないかな。あれがなかったら、5回目くらいで終了になっていたかもしれない」”(p134-135)
と古舘伊知郎さんの生きざまにもリンクして、本書を読めば古舘伊知郎さんが手がけるトークイベントに冠されるタイトルは「トーキングブルース」でなくてはならない背景に経緯が伝わり、
既述のイベント時に古舘伊知郎さんから
「(9月1〜3日開催の)トーキングブルース来てよ」
との声がけされていたものの、チケット販売での出遅れ感否めず見送りとなっていましたが、本書きっかけでフラグを立て(早ければ12/7の追加公演)足を運んでみようかなと興味を掻き立てられました。