『豪州読本:オーストラリアをまるごと読む』のおさらい編。
12回目は、「第七章 暮らしぶり ー オーストラリアのライフスタイル ー」の続きで、
ワークライフバランスとスポーツ大国に関する内容の抜粋です。
休暇はたっぷり、ゆったりのワークライフバランス
” オーストラリア人にとって仕事は、生活と生活を楽しむための手段に過ぎないという考え方が一般的である。
仕事は、9〜5時できっちりとやり、後は自分の時間を最大限にエンジョイするというのが当然のことで、会社のため、組織のために働くというのは野暮なことだと思っている。有給休暇は4週間もある。
これをまたきっちり一括して大体夏場に取り、長い旅行に出たり、避暑地で過ごしたりするのである。いまでも、休暇中の給料は上乗せされ支給される。
また、一般的に勤続年数に従って3、6、12ヵ月という長期休暇も支給される。
30年も勤続した人には退職する前に1年間の休暇がもらえ、しかも休暇手当てが支給され、労働者にとっては大変恵まれている国である。
1年間会社の金で世界旅行する退職者も珍しいことではない。もちろん、仕事人間がいないわけではない。1日10時間、14時間も働く人もいる。
しかし、これも会社のためではなく、あくまで自分のキャリア・アップを図り、収入を増やし、将来をより一層楽しむためである。”(No.2437-2446/数値は電書籍のページ数)
スポーツ大国
” オーストラリア国民はアウトドア志向である。人口の密集する東南部地域は、地中海性気候で日本と比べ雨量も少なく、日照時間が長い。
それゆえ、屋外での活動が盛んである。テニス、ゴルフ、乗馬、クリケット、水泳などを楽しむ人口は多い。
そのなかでも、参加、観戦ともに大変人気の高いのが、フットボールである。オーストラリアには4種類のフットボールがあり、
フッティーと呼ばれるオージー・ルールズ( 18人制)、ラグビー・ユニオン(15人制)、ラグビー・リーグ(13人制)とサッカーである。
・オージー・ルールズ・フットボール
その中で、オージー・ルールズのフットボールは国技に近い。1858年、ビクトリア州で最初に紹介され、それ以来、国中で競技されている。
メディアの注目度、観客動員数で最も人気が高い(ただ、ニューサウスウェールズ州とクイーンズランド州では、ラグビー・リーグの人気の方が高い)。
サッカーとラグビーを組み合わせたようなもので、各州にプロのチームがあり、メジャー・リーグで16チームがシーズンを通して戦っている。
男と男の肉弾戦、まさに、伝統的なオージー・スタイルである。接触プレーが多いので、他のフットボールに比べて怪我がひどく、頻発する。
▪️AFL EXPLAINED(オージー・ルールズ・フットボール紹介映像)
スポーツ施設は充実しており、かつ安い料金で利用ができる。都市にはどこに住んでいても身近な所に各種スポーツ施設がある。
公営、民営、クラブ制などで運営されている。無料のところがほとんどであるが、有料でも大変安い。
乗馬、テニスなど日本の料金の何分の一かである。
・ゴルフ
ゴルフにいたっては公営、クラブ制、民営(特にクイーンズランド州で、多くは日本企業が運営している。地元のコースより相当割高)があり、オーストラリア全土で1,000ヵ所以上ある。
公営のコースであれば、10〜15ドルでラウンドできるところがあり、しかも貸しクラブ込みでなんとも羨ましい限りである。
また、公営のコースは、普通午前7時から午後5時までの営業時間で、それ以外は無料でできる。
特に夏場は日照時間が長く、午後9時を過ぎても明るいので、仕事を終えてからラウンドができる。
・スキー
オーストラリアは、世界でも一番乾燥した大陸であるので、冬スポーツにはあまり縁がないと思いがちだが、
どうしてどうして、大陸の東部にはオーストラリアアルプスが横たわり、最高峰のマウント・コシューシコは、海抜2,228mで冬になると雪が積もる。
世界に先駆け1878年、スキークラブが創設され、スキーをスポーツ競技として世界でも初めて採り入れた国である。
1907年には、世界で初めてのアルペンスキー国際大会がここで開催されている。
ここに開設されているスキー場は、ヨーロッパの国スイス全土に匹敵するくらい広いものである。
・ローンボーリング
老後のスポーツとしては、ローンボーリングが盛んである。感覚的には日本人のお年寄りが楽しんでいるゲートボールやグラウンドゴルフのようなものである。
1864年に最初のローンボーリング・クラブがメルボルンで結成され、1900年には全土に広がった。今ではどの町に行っても、ローンボーリング・クラブがある。
現在その数は、オーストラリア全体で4,000ヵ所を超え、メンバーも50万人近くになるといわれている。
クラブにはバーやレストランがあり、またスロットマシーンもおいてある。
飲んで、食べて、賭けごとをする場として、男女を問わず、年金生活者の軽スポーツと交流、憩いの場になっている。
日本でも話題になった冬のスポーツであるカーリングは、このローンボーリングがもとになっている。
オーストラリアではこのローンボーリングがシニアスポーツの代表的なものであり、オーストラリアでは3番目に人気のあるスポーツである。
▪️ローンボーリングの話題を取り上げたニュース映像(ボウリングの原型「ローンボウルズ」国際大会始まる(15/11/01))
国民の約70%(15歳以上)は何らかのスポーツを楽しみ、50%以上の人が毎週少なくとも一度はスポーツを楽しんでいる。
毎日スポーツを楽しむ人は、全人口の20%になろうとしている。
学校の生徒に質問しても、スポーツにまったく関心のない生徒は10%前後で、90%以上が運動好きで、体育の授業も80%以上の生徒が好きだと答えている。
また全人口の70%の人がスポーツ観戦をするほどスポーツの盛んな国である。”(位置No.2437-2565)
対極的な仕事観、スポーツから入るオーストラリア
ワークライフバランスに関しては、労働者の声を代弁する労働党が国会をほぼ二分する勢力を有する背景があり、
多くの方(私を含む)にとって、選択の自由があれば魅力的に感じられる方も多いのでは・・、と思います。
スポーツは、10月末に閉幕したラグビーワールドカップ 2015で決勝戦まで進み、
オールブラックスことニュージーランド代表に敗れてしまったものの準優勝を遂げました。
現地での盛り上がりは把握していませんが、人口2,400万人以下、フットボールの中でも3番人気ながら
世界最高峰の実力を兼ね備えていることは、単にスポーツ大国というだけでなく、質も備わっている事の証左といえるでしょう。
今回、記載した以外の種目では(野球の原型とも称される)クリケットであったり、恵まれた海洋資源からマリンスポーツであったり、F1の開催に象徴されるモータースポーツなど、
種目の幅は広く、スポーツを媒介としてオーストラリアに親近感を抱いている方々も少なかろうと思います。
第7章、まだ結構残されているので、来週にまた続けます。