オーストラリアを日豪関係に40年以上携わる田中豊裕さんに学ぶ一冊「独自かつ多彩な食文化」:『豪州読本:オーストラリアをまるごと読む』おさらい ⑭

『豪州読本:オーストラリアをまるごと読む』のおさらい編、第14弾.-

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前回に続いて「第七章 暮らしぶり ー オーストラリアのライフスタイル ー」から、食文化に関する内容の抜粋です。

変わりゆく食文化

” オーストラリアの食文化は、伝統的にイギリスやスコットランドのものである。入植当時には食材に制限があり、食べることに精一杯でこの国の食文化が発展するような環境ではなかった。

その後、農業、牧畜業の発展に従って、本来の穀物、肉食主体の食生活になってくる。

主に羊肉、牛肉に温野菜が定番で、肉の料理はステーキ、ローストで胡椒を使って食べる。

オーストラリアは世界的にも肉の大量消費国である。1人当たり年間80kg近い肉を食べる。羊肉がそのうち半分くらいで、あと牛、豚、鶏や肉の調達品である。

健康志向でコレステロールの比較的少ない豚や鶏が増える傾向にある。

羊は1億頭以上いる。ほとんどはメリノ種であるから、目的は羊毛を刈り取るためであるが、肉用に使われる種類もいる。

肉はその年齢で(正確には歯の生え具合に従って)、3種類に分けられる。

生後1年以内のラム(歯が2本までの子羊の肉)、1年から2年までのホゲット(歯が3〜5本まで)、そしてマトン(歯が6本以上)となっている。

このようにオーストラリアでは年齢によって呼び名が違う。牛や豚にも適用される。

オーストラリアが多民族文化国家に変遷していく中で、オーストラリアの食生活は、移住者が持ち込んだ料理、食材、楽しみ方などに大きく影響を受ける。

オーストラリアの食生活が本格的に変化し始めたのは、戦後1950年代になり、ヨーロッパ各地からの移民が大量に流入するようになってからである。

食後の飲み物であるが、イギリスの伝統で紅茶であった。しかし、料理と同じように、イタリアの影響が強く、カプチーノ、エスプレッソが幅を利かすようになる。

そして、1970年末にはコーヒーの消費が紅茶を凌ぐようになった。現在ではコーヒーの消費は紅茶の2.5倍ぐらいになっている。”(No.3007-3042/数値は電子書籍のページ数。以下同様)

日本食&食材の買付け

“日本の食材に関して、1970年代ごろまでは米、醤油を除いて現地でほとんど入手できなかった。

しかし現在では値段はさておいて、都市であればどこでも買うことができる。

米はオーストラリアでもジャポニカ種が作られており、スーパーで安く(日本の約3分の1〜5分の1の価格)で購入できる。

海苔、かんぴょう、わさび、インスタントラーメン、しいたけ、たけのこ、梅干、漬物、ふりかけなど、現在は現地で購入できる。

豆腐、もやし、蕎麦などは現地で生産もしている。すき焼きにできる牛肉も最近では肉屋で買える。

日本人にとって魚類が豊富なのはうれしい。エビ、アワビ、イセエビ、マグロ、鯛、イカなどを日本にいるときと同じ感覚で入手できるので、いろんな料理が可能である。

フライ、焼き物、煮物などには近くの魚屋、スーパーで豊富な魚類が手軽に買える。

日本料理店も大都市では珍しいことではない。1960年前後からでき始め今では大都市ではどこにでもある。

また、街の中やアーケードにあるスナック街では手巻き、握り寿司、丼物などが売られており、若いサラリーマンや専門職の人たちの間で好評である。

さらに、新鮮な野菜、果物が豊富で安いことも特徴である。オーストラリアは熱帯、湿帯が並存しているので、ほとんどあらゆる果物、野菜が地元で栽培、収穫されて店舗に並ぶ。

大陸が広いので収穫時期が長く、1年近くを通して楽しめるのも特徴である。

現在のオーストラリア食文化にはアメリカ、南欧、アジアの影響が強く出ている。

イギリスの伝統的なフィッシュ・アンド・チップス店で販売しているメニューも春巻、餃子、シュウマイ、イカの天ぷらなどが名を連ねている。

オーストラリアでの食材の購入は、1週間のまとめ買いが一般的である。

オーストラリアの家庭には日本と比べて相当大きな冷蔵冷凍庫がある。買い込んだ食材の保存のために必要である。

1970年以降、買い物時間も徐々に延長され、現在では夕方6時頃まで、週末も土曜は午前中買い物ができる。

さらに、州によって曜日は違うが、週1日岳、大体木曜か金曜日であるが、夜9時ごろまで営業している。この時に1週間のまとめ買いをするのが一般的である。”(No.3042-3079)

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外食する場合と覚えておきたいこと

” オーストラリア人は家で食事をするのが伝統的で、外食はあってもまれである。

何か特別の日、たとえば卒業記念、結婚記念、誕生日などが外食のケースである。

オーストラリアのレストランでは、酒類販売のライセンスを持っていない店も多いので、BYO(bring your own)というなじみのないシステムがあり、自分好みのアルコールを持ち込むことができる。

この際、1本あたり2〜15ドルくらいのコーケージ(手数料)が取られる。

同じものをレストランで注文すると何倍かするのでこのシステムはなかなか好評である。

オーストラリアではアメリカのようなチップ制はない。

しかしレストランでの料理に大変満足した場合など料金の5〜10%、あるいはつり銭の小銭をその感謝として置いて行く人もいる。他の分野ではチップそのものが存在しない。

知人や友人同士でレストランにいく場合、料金は割り勘が原則であるう。飲み物はバーでシャウトが基本である。

女性を誘っての食事はこの原則を守らないと誤解を受ける場合がある。

つまり女性が奢られるということは男性の要求を聞き入れる心構えがあることになる。

オーストラリアではすべての人が平等で、身分、性別、地位などにかかわらず人間はみな同じだという社会通念があるから、通常お恵みをされたりお恵みをしたりしない。”(No.3079-3096)

オーストラリアの食卓の定番ベジマイト

” 日本ではまず目にしないし、聞くことがない食材で、伝統的なペーストにベジマイト(vegemite)なるものがある。

オーストラリアではトースト、パンに塗って食べるので、朝食の食卓にはなくてはならないものである。

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VEGEMITE.-

普通ビン詰めで、内容物は黒い色でペースト状である。イーストの風味がして塩からい、それもそのはず、

この原料は、ビール醸造で使うモルトの残りかすで、ミネラル塩や植物エキスが入っている。優れた滋養強壮、健康食品である。1日に必要なビタミンB1、B2が摂取できるという。”(No.3096、3105)

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知れば知るほど裾野が広い食の世界

かなりの部分を端折った抜粋版ですので、このカテゴリーにご興味のある方や移住など具体的な計画がお有りの方などは、

一冊お手元に置いて、じっくり読まれることをお勧めします。

オーストラリアに対する理解が進んでも、一向に理解されないのがベジマイトですね〜(笑)

次週、ワイン、留学事情(教育)などを取り上げて、第七章を締めたいと思います。


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