オーストラリアを日豪関係に40年以上携わる田中豊裕さんに学ぶ一冊「オーストラリアという未来」:『豪州読本:オーストラリアをまるごと読む』おさらい ㉖(最終回)

『豪州読本:オーストラリアをまるごと読む』のおさらい編、第26弾.-

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<< 2016年1月20日投稿:画像は記事にリンク >> オーストラリアを日豪関係に40年以上携わる田中豊裕さんに学ぶ一冊「友好の歴史と未来への課題。そして留学の舞台裏」:『豪州読本:オーストラリアをまるごと読む』おさらい ㉕

「第十章 日豪関係の歴史と将来」内の「老後は夫婦でロングステイ(長期滞在)」と「日豪関係の検証と警鐘」からの抜粋です。

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魅力を秘めるロングステイ先

項目が「老後は夫婦でロングステイ(長期滞在)」とタイトルされている通り、

ロングステイ先としてオーストラリアの魅力について説明され、それは・・

” なぜ、オーストラリアなのか。いろんな角度から考えて、オーストラリアが、理想的な選択肢であるからである。

気候、治安、物価、地元の受け入れ、食べ物、各種インフラ、医療施設、さらには時差、金利、国民性、自然災害、公害、環境、生活レベルなどを考慮に入れると、世界は広いといえどオーストラリアは最高に条件が良い。

具体的にいうと、オーストラリアは東南部は、地中海性気候で夏は空気が乾燥しているので快適、冬は温暖、コートは必要ない。

治安はいたって良く、夜道を1人で歩いていても危険度は低い。物価は日本より安いが、生活の質は日本と比べて羨ましいほど良い。

地元の人たちは、海外からの訪問者を温かく迎え入れ、大変フレンドリーである。

オーストラリアは、伝統的に移民の国、入植者を温かく迎え、精神面、物質面で援助することが日常的である。

食べ物は、安全で豊富だし、日本と比べ相当安くて確保できる。豊かな水産資源もうれしい。

生活インフラ、スポーツ、レクリエーション、生涯教育施設、医療施設も良く整備され充実している。アクセスも大変良い。

日本との時差はほとんどなく、アメリカやヨーロッパと違って日本との連絡にも気兼ねすることがない。

日本から空路6〜10時間、夜日本を出れば翌早朝に到着、ジェットラグがないのが体にやさしい。

金利は日本と比べれば常に相当高く(定期預金で5〜7%)、退職金の一部を現地で貯蓄すれば元本そのままでその金利だけで最高の滞在ができる。

持てる国の余裕と豊かさが国民を親切、おおらかにしている。

日本では台風、地震、水害、雪害など自然の脅威にさらされがちだがオーストラリアは自然災害が少なく、環境は大変に良い。

住環境は日本では考えられないほどで羨望の的である。

アデレードやパースであれば、都心に近い2LDKのマンションを借り、すべての経費を含めて半年120万円で、夫婦で優雅で満足度大の滞在ができる。

オーストラリアは世界の中でも最も治安の良い国である。また高度な医療設備、取り組みが安心感を提供する。

いまだ数は少ないが日本人の医師がいるところもある。でなければ細かな医学的な相談をするときには通訳を連れていけばよい。

企業戦士であった人たちのみならず、これから個性ある旅行のスタイルを考えている人びと、新たな発見、ハイクオリティな人生を求めている人々、

日本ではできなかった体験をしたい人びとなどオーストラリアを中、長期滞在地としてぜひ探求すればよいと思う。

詳しい現地事情などについてはオーストラリアの大使館、領事館、また各州の駐日代表事務所に問い合わせれば教えてくれる。”(No.5116-5163/数値は電子書籍のページ数、以下同様)

オーストラリアを含めいきなり海外でロングステイというよりは、判断されるべきお試し期間があっての流れが合理的と考えますが、他国と比較して横一線よりも前に出た魅力的な条件は多いように感じます。

日豪関係の検証と警鐘

” 日本人にとってオーストラリアはライフラインであるが、まだまだ知られていない。オーストラリア人の方が、日本に関してより深い認識を持っている。

日本にとってオーストラリアは欠かせないエネルギー、工業原料、食糧の供給国である。

オーストラリアの方が日本に対して積極的にエールを送り続けた。それに日本もある程度応えてきた経過は見逃せないが、

日本の目や耳はややもするとアメリカ一辺倒の傾向が強かった。これは政府のみならず、官庁、実業界、市民に至るまで当てはまることである。”(No.5172、5180)

また、国の統治制度に関して日本側の誤解があり、それは・・

” オーストラリアは、連邦制で州の権限が強い。その辺の事情に疎い政治家、経済界、一般社会の関係者は、オーストラリアの州を中央集権の都道府県、あるいは共和制アメリカの州のように理解している。

州政府の長は内閣総理大臣、首相なのであるが、この職を知事と呼んだり、そのような職であると理解したりしている。

各州の首相の権限は、知事の比較ではない。連邦政府の管轄である軍備、国家外交、移民政策、所得税徴収などを除外した分野は、州政府の権限で、職務である。

経済運営、労使関係、環境、教育、警察、司法、保健衛生、福祉、医療、資源開発、都市計画などは州政府の管轄業務である。それぞれの分野で担当大臣が任務の遂行に当たっている。

中央政権システムの日本と違って、背景の異なった植民地がまとまって連邦国家になったので、小さい国が集まってオーストラリアという連邦国家を造ったという方がわかりやすい。

だから、連邦国家を形成している州政府は、国のミニ版である。

つまり、オーストラリアの州政府は、連邦の出先機関という認識ではなく、別個の独立した国であるという前提で物事の判断や行動を取るべきである。”(No.5336-5352)

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知られざるオーストラリアを知るきっかけ

以上、(2015年)9月から断続的に計26回に及び南オーストラリア州政府観光公社日本代表などの要職に就かれた著者の田中豊裕さんから

様々な切り口でオーストラリアについて学んできましたが、日本側、日本人が気付いていなくても切っても切れない間柄にあるオーストラリア。

相互理解という意味では、だいぶオーストラリアが先行している現実があるようで

本書などをきっかけとして、私をはじめ気付かされていなかったオーストラリアについて理解を深める契機になればと思います。

本書は2011年に上梓された本である事から、日本人から見た「オーストラリア」の実像を大枠で捉えることが出来る貴重な一冊であったと感じています。

 


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