2019年11月、WBSSバンタム級決勝を制した プロボクサー 井上尚弥選手の著書『勝ちスイッチ』が、
1R 勝利スイッチ
2R 決戦スイッチ
3R 思考スイッチ
4R 肉体スイッチ
5R モチベーションスイッチ
6R 最強スイッチ
7R 未来スイッチ
と章立てされているうちの 3R 思考スイッチ まで読み終えたので、そこまでのおさらい。
天才、そして現実
本書は「1R 勝利のスイッチ 」前の
“ドネア戦の向こうには、どんな景色が広がっているのだろう。その景色を見るために、今、僕は何をしなければならないのか、そして、今日一日、ベストを尽くしたのか。
僕は、今日も自問自答を繰り返しながらバンテージを巻くのである。”(p8)
「まえ書き」に記され、本編に入ると「僕は天才ではない」と題された項では
” 現在の僕の専属トレーナーでもある父は、「1万時間の法則」という原理をよく持ち出す、マルコム・グラッドウェル氏が著書『天才!成功する人々の法則』で紹介した概念だ。
天才になるには、それだけの努力が必要で1日8時間練習するとしても3年以上かかる。
僕の感覚からすれば、1万時間で天才になれるのならば楽なもの。
その1日8時間の中身がさらに問われ、限界までやったのか、考えながらやったのか、練習のための練習ではなく試合を意識してやったのか、が問題。
質の高い練習を毎日、1万時間以上、積み重ね、結果が出たときに、やっと天才の「て」くらいに言われるようになるのかもしれない。”(p19)
「すべてはプラスに転ずる」では
” 何があっても落ち込まないというのが井上尚弥の流儀。
「悩む暇があれば、今、何をできるかを考えてやれ!」という考え方だ。
走ることはできる。ステップワークもできる。右手は無理でも左手は使える。
小さい頃からそうだった。ネガティブに捉え、自分を追い込むと、試合で最高レベルのパフォーマンスが出ない。
「なんとかなる」「なんとかする」でいい、井上家に沖縄の血は入っていないはずだが、「なんくるナイサー」の精神である。
それは気持ちの「切り替え」、つまり「勝ちスイッチ」とも言えるのかもしれない。向き不向きで言うなら、心理的側面の多いボクシングという競技に向いている性格である。”(p114-115)
と、帯に掲げられた通り、
井上尚弥選手の思考法がさまざまな斬り口から紹介されています。
栄光を導き出した挫折
読み進めたところまでで、象徴的であった箇所は、
” 僕はアマチュア時代に6敗している。”(p91)
の記述が、冒頭部に載る「負けないことより、逃げないこと」と題された項。
本項に限ったことではないですが、輝かしいキャリアの裏側で血が滲むどころではない、
思考、肉体の鍛錬 x 継続が貫かれている日常が、叩き出してきている結果の重みと掛け合わさせれて伝わってきてきます。
井上尚弥選手の凄みに関しては、年初に所属の大橋ボクシングジム 大橋秀行会長の著書 ⬇︎
で、断片に触れていましたが、
今回、井上尚弥選手ご自身の言葉で、より熱源に近づいている感じを抱きながらの読書となっています。