安倍晋三首相と作家 百田尚樹さんの対談等を収録した『日本よ、咲き誇れ』を読了。
タイトルだけ見ると思わず身構えてしまうようなところもありましたが、安倍晋三首相率いる安倍政権を支持する否とを問わず、
長く政治の世界で長と君臨している人の考えていることなり、目指していることを本人の言葉で知るプロセスはあって然るべきでしょう。
二人に共通する日本への思い
百田尚樹さんが執筆された「はじめに」で・・
” 安倍総理とは住む世界も違えば、戦う場所も違います。しかし、日本の国と日本人を愛する気持ちは同じだと思っています。
私はこの素晴らしい国がいつまでも平和であり、人々が幸福に暮らしていける国であってほしいと心から願っています。
安倍総理と何度もお話しさせていただき、彼もまた同じ思いを持った人だと確信しました。
・・中略・・
私には政治的な力は何もありません。ただ目指していることは、「小説」を通して、多くの読者に「日本の素晴らしさ」「日本人の美しさ」を伝えていくことです。”(p9)
安倍晋三首相への評価や日本への思いが綴られ、自由民主党が野党時代に行われたお二人の対談では
” いまの日本を取り巻く社会情勢を見れば、北方領土にロシアの首脳が二度も上陸し、尖閣諸島に対する中国の強硬な姿勢は勢いを増し、
韓国の李明博大統領が竹島を訪問し、ソウルの日本大使館前には従軍慰安婦像が建てられるという、自民党政権時代には考えられない侮辱的行為が横行しています。”(p34)
という強い危機意識が、総理総裁への返り咲きへの原動力になったり、
” なにより結果を出してこその政治家であり、結果を出さない政治家には一文の価値もないと思っています “(p36)
といった政治家としての矜持も示されており、本購入時の期待より、随分と興味深く本書を読み進めることが出来ました。
また、主権を委ねられている我々の国民の意識についても、百田尚樹さんは
” 政治家もしばしば錯覚してしまうのが、テレビ・新聞などが取り上げる声が非常に大きく聞こえてしまうことです。
マスコミに迎合する日和見によって、保守本道にブレが生じてしまう。そうすると、本来なら声をあげない潜在的な支持者が引いてしまう。”(p37)
或いは
” 私はテレビの仕事をしていますが、番組をテレビ局が一丸となって作っていることなんかありません。
携わっている数人のスタッフの意見で作っているわけです。
私が放送作家としてナレーションをちょろちょろ書くだけで、それが一気に一千万人以上に人に伝わってしまう。テレビは本当に怖いと思います。”(p39)
など、漫然、受身の姿勢でマスメディアの報道を受け止めてしまうことへの警鐘、危うさは本書を読んで強く感じたことでした。
政治家から感じたい生きざま
私個人は、特定政党の支持者であることはなく、一部の政治家の方々に好き嫌いを感じていますが、
大枠では二大政党制、常に政権交代が起こり得る緊張感のある状況を望んでおり、
その意味では先週投開票が行われた衆議院議員選挙には遅々として進まぬ状況に落胆するところも大きかったことです。
政権選択選挙となる衆議院議員選挙はしばらくありませんが、
本書で思いのほか伝わってきた安倍晋三首相の骨太な感じ(一度総理を退いた後、ミニ集会を三百回以上行い、支援者だけでなく一般家庭にも一軒一軒回った地道さに、憲法改正に賭ける思いなど/p54-55)を、
(次の衆議院)選挙が行われるまでの間に野党党首であったり、自由民主党に代わり得る受け皿の担い手にも、見出したく感じた本書でありました。